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このコーナーでは、アメリカ西海岸Orange County(OC)にて行われるライブレポートをお届けします。

第31回: MUSINK 2019  - Costa Mesa, CA
 

今年で12回目となるタトゥーとミュージックを融合したフェスMusink。正式名称はMusink Tatoo Convention And Music Festival。数百人を超えるタトゥーアーティスト達が集まり、自身の作品を展示、そして来場者達はその場でタトゥーを彫って貰う事が出来る。毎年フェスは3日間行われ、会場は決まってカリフォルニア、Orange County
にあるOC Fairgrounds and Event Centerにて開かれている。
 
三日間のフェスでは、連日3-5組のバンドがライブを披露。アーティストのジャンルは様々だが基本はパンク、サイコビリー、ハードコア、メタル系のアーティストが出演している。どちらかというと最近頭角を現しワープドツアー等にガンガン出演しているバンドよりも、ここ数十年第一線で活躍してきたベテランバンドから、ジャンルに影響を与えたアーティスト達が出演しており出演バンドの質は非常に高い。

3/8/2019 (1日目):Suicidal Tendencies、Hatebreed、Sick Of It All、

Bleeding Through、All Hail The Yeti

 

平日の午後という事もあり会場には余り人が集まっていなかったがトップバッターのメタルAll Hail The Yetiが登場。LA出身のバンドは活動期間は10年以上と長いが、ここ数年間で知名度を上げているバンドだ。ヴォーカルConnorがスクリームを担当しベーシストNicholasがクリーンヴォーカルも兼任。サウンドはメタルコア、ニューメタルにサザンロックやストーナー系のメロディラインが組み合わせている音。ゴリゴリのメタルでは無いので曲展開によってはハードロックにもなり、All That Remainsの様にメロディを重視したメジャー層をターゲットにした曲を発表する事も出来るのは彼等の強みでもある。実際彼等が最後にプレイしたシングルHighway Crossesもラジオで掛かってもおかしくないクオリティに仕上がっている。ライブは早い時間帯という事もあり盛り上がりには掛けたが演奏力は確実にあるバンドであり今後彼等がどう音楽を表現していくのか楽しみである。

そしてこの日の二番手はオレンジカウンティ出身のメタルコアBleeding Through。2000年前半に発表したアルバムThis Is Love, This Is Murderousそして次作The Truthはこの頃爆発的人気を博したメタルコアシーンの活性化において重要なアルバムである事は間違いない。バンドは2014年に一度解散したが去年復活。メンバー達が登場すると地元という事もあり大きな歓声が起きAll Hail The Yetiとは比べ物にならない程大勢のオーディエンスが集まっていた。一曲目はバンドの人気を一気に押し上げたシングルLove Lost in a Hail of Gun Fireから。バンド以外にGymも経営するフロントマンBrandanの歌唱力はブランクがあったとは思わせない程レベルが高く、管理人もBrandanこんなに上手かったっけと唸る程素晴らしい仕上がりだった。The Truthからの楽曲が多いセットリスト、曲For Love&FailingやKill To Believe等のBrandanのクリーンパートのパフォーマンスはお見事。最後は恒例となった曲Revenge I Seek。Brandanはこの後に出演するSick Of It Allはバンドを初めて欧州ツアーに連れて行ってくれた恩人であり影響力は計り知れないとレスペクトも込めて熱唱。

Bleeding Throughのライブ時から紹介を受けていたニューヨークハードコアパンクSick Of It All。30年以上シーンで活動しているベテラン。フロントマンLouとギタリストPeteのKoller兄弟。ドラムArmandそしてベースCraigは90年代から一度もメンバーチェンジ無しで活動。曲Injustice Systemでスタートしたバンドは去年発表したばかりで好評の最新作Wake The Sleeping Dragonから曲Inner Vision、That Crazy White Boy Shit等を披露。Koller兄弟とCraigは序盤からステージを飛び跳ね、練り歩き飛ばしまくる。Bleeding Throughやこの後出演するHatebreedよりも一回り年齢が高いメンバー達は年を感じさせない体育会系のパフォーマンスを披露。Step DownやTake the Night Offなどバンド歴代のシングル曲を披露。30年以上も第一線でライブをやっているバンドだけにメンバー個人個人でライブを楽しむ術を持っており一見大人しそうなCraigも常にオーディエンスとのアイコンタクトで目を配っておりベテランの余裕が感じられるライブであった。

ヘッドライン前のサポートはハードコアそしてメタルシーン両方からレスペクトを受けるHatebreed。今年25周年を迎えるバンドはSick Of It All程ではないが今やシーンのベテランバンド。この日前日に大雨が降った事で気温の低い夜であったが会場外まで人で埋め尽くされた事で温かい熱気の中メンバー達が登場。フロントマンJameyが「ハードコアライブの用意は出来てるかー」と叫び代表作Perseveranceから曲Provenでスタート。メディアブースではこの日初めてとなるクラウドサーフでやって来た人で混戦状態に。続いてアルバムThe Rise Of Brutalityから一気にDoomsayer、This Is Now、Live For Thisを披露し馴染みのある曲でオーディエンスをモッシュに叩きこむ。ハードコア大将Jameyのヴォーカルは全く色あせず、これまで度々彼のヴォーカルについて発言してきたが管理人の好きなヴォーカリストの一人である。ハードコアなヴォーカルでありながら非常に聴きとりやすい声でありこのシーンにおいて歌詞一語一句はっきりと聞けるヴォーカリストはそういない。彼の独特なヴォーカルパフォーマンスは多くのバンド達も認めておりJameyがゲストヴォーカルで出演するケースは非常に多い。この日旧曲Last Breathもプレイし長年のファン達は大喜び。オーディエンスを乗せる術に長けるJameyのパフォーマンスにFrank、Wayne、Matt、Chrisの寡黙なメンバー達がメタリックなサウンドで押しまくる。25周年を皆で祝う為必ず戻って来るとバンドは最後に曲I Will Be Heardで締める。

初日ヘッドライナーSuicidal Tendenciesが登場する頃になると会場が満杯に。クロスオーバースラッシュというジャンルをシーンに定着させたバンドとしても有名でありこの日出演したバンド達は口を揃えてSuicidal Tendenciesと同じステージに立つ事は自分達にとってとても名誉な事と発言。元SlayerのDave Lombardoそして元The Dillinger Escape PlanのBen Weinmanを加えたバンドは非常に強力。この二人がステージに立っただけで大歓声が起きる。バンドはギタリストDeanのギターソロで始まる名作Lights Camera Revolutionからのオープニング曲として有名なYou Can't bring Me Downでスタート。ダッシュで登場したフロントマンMike Muirはステージを駆け回り、彼独特のリズムに乗って熱唱。オーディエンスはクラウドサーフの嵐となり人が次々にメディアブースに飛び込む。ギタリストBenは常にベーシストRaと絡んでおり息のあったプレイを見せる。最新作Still Cyco Punk After All These Yearsからの曲はプレイせずクロスオーバーの歴史を辿るInstitutionalized、Freedumb、I Shot Devil等名曲をプレイ。Benのギターを振り回したり高所からのジャンプは常に動き続けるMikeと非常に合っておりこのままBenにはSuicidal Tendenciesで活躍してもらいたい。下の写真でも分かるが少しMikeが痩せた感じに見えたのが気になったが、全力でステージを掛け手を振り回しながら息切れせずにラスト曲Pledge Your Allegianceを熱唱していたMike、今年で56歳だそうだ。まだまだ現役でこれからもステージ上で暴れまわって貰いたい。初日のMUSINKはオープニングのAll Hail The Yetiを除いて全てハードコアのハートを持ったバンド達であり、Family、Brother、Communityといった輪を大切にするメッセージが伝わって来た。DaveとBenを入れたSuicidal Tendenciesはライブの質においてハイレベルなパフォーマンスを見せつけた形となった。オーディエンスも常に吠えまくっており最高のMUSINK初日となった。

 

3/9/2019 (2日目):Limp Bizkit、Ho99o9、City Morgue

 

2日目は週末という事で早くからタトゥコンベンションに足を運ぶ人々で賑わっていた。この日は全3組のアーティスト達が登場。昨日のAll Hail The Yetiを見ていたオーディエンスの数倍の人数になっていた会場にこの日のオープニングヒップホップデュオCity MorgueのDJがマイクを持って現れバンドを紹介しメンバーであるZillaKamiとSosMulaが登場。ニューヨーク出身の彼等のスタイルはシャウトを交えるトラップ系のサウンド、DJのサウンドチョイスはメタル系やハードコア系の音楽もありトラップメタルそしてニューメタルにもなりえる。曲間ではオーディエンスを盛り上げる為かWall Of Deathを作る為左右に別けたり、モッシュを展開させる為にオーディエンスを煽る等メタルバンドと同じ様なライブ運びをする事も驚いた。Slipknotの曲Spit It Outも掛かり盛り上げていた(映像は別のライブだがこんな感じです。)

そしてこの日の二番手はLA出身のHo99o9(ホラーと読む)。アンダーグランドホラーラップのグループは今やメタル誌Revolverの表紙も飾る程ラウドロック系メディアでも人気急上昇中の若手である。この夏はKornやUnderoathともツアーを行うグループでありメンバーTheOGMとEaddyの二人は正にヒップホップ界のパンクという表現がぴったりくるパンク/メタルスタイルであり、暴れ系の激しいドラミングでオーディエンスの魅了するドラマーBrandonの存在もありHo99o9のパフォーマンスは先程のライブを披露したCity Morgueの何倍も押し上げ完成されたホラーコアラップである。サウンドではSlipknotが1999年に発表したセルフタイトルからの曲Tattered&TornやOnlyOneのサンプリングパートを使用した曲Mega City Nineも披露。City Morgueでも思ったのだが最近のラッパーは本当に色んなジャンルの音楽を聴いて育っている事が解る、ヒップホップ、ラップだけでなく彼等はロックやメタルにも趣旨が深くMarilyn MansonやSlipknotをレスペクトしている点も現在の若手ラッパーたちの特徴だろうか。今後もラウド系から来たラッパーが増えたら多くのコラボが生まれそうだ、楽しみなシーンになってきた。

2日目のヘッドライナーはLimp Bizkit。会場は外まで溢れかえる人になっており、ステージが暗転し大歓声の中次々とメンバー達が現れる。最後にFredがゆっくりとステージ登場、「チェック1、2」の掛け声と共にギタリストWesのギターフレーズから曲Hot Dogがスタート。「You want to fuck me like an animal」時は会場全体で叫び、Fredもスクリームが上手く出ていた。曲間にFredは南カリフォルニアに帰ってこれた事を発言すると会場はバンドのライブを待ち侘びたファンで大歓声に。バンドは曲Break Stuff、My Generation、Rollin、Nookieとシングル曲を連発。Break Stuff時にはギタリストWesがオーディエンスへダイブを慣行、長い事オーディエンスの波に乗っておりオーディエンスによって結構な距離をサーフして行った様だ。下にWesのクラウドサーフ写真が。オーディエンスもノリノリで大合唱であり、Fred自身まさかここまで盛り上がると思っていたのかクビを振りながら終始驚いていた。バンドは曲Full Nelson時にオーディエンス前列に居たファン男性をステージに上げ男性と一緒にFull Nelsonを熱唱。バンドはカバーメドレーも披露しNirvanaのHeart-Shaped Box、Wesがヴォーカルで曲Smells Like Teen Spirit、なんとGreen Dayの曲Brain Stewも披露し管理人は驚いた。Panteraの曲Mouth of Warのイントロ部分だけをプレイし、「ごめんごめん、オーディエンスにはヘビー過ぎたな」とあえなく終了。メンバーはWes、John、そして復帰したDJ Lethal。そして先日からバンドに復帰したSamの姿もありメンバー全員集合でファンは大満足であったろう。バンドはラストにシングル曲Take Look Aroundを披露し大歓声の中ステージを後にした。残念ながらアルバムGold Cobraからの楽曲はプレイしなかったが、本当に久しぶりの米国でのライブであった為、多くのファンがお帰りとバンドに喜びの声援を掛けていたのが印象的であった。

 

3/10/2019 (3日目):The Vandals、FEAR、Dead Kennedys、TSOL、Anti-Flag

 

MUSINK最終日はベテランパンクバンドが多く登場するという事でどれぐらい盛り上がるのかと思っていたが、会場はこの3日間の中でも最も賑わった日であった。残念ながら会場到着が若干遅れた事でトップバッターVoodoo Glow Skullsのライブ中に来場。去年から正式なヴォーカルとして加入したDeath By StereoのEfrem Schulzがラテン系レスラーの覆面を被って熱唱。この日唯一のスカパンクバンドであったが、会場は早くから人が入っており早速モッシュ内ではサークルピットが展開。

早めのセットチェンジから次のAnti-Flagメンバー達が登場。歓声の中、ギタリストChris #2が「You've gotta die, gotta die, gotta die for your government」と叫びオープニング曲Die For Your Governmentがスタート。Chris#2はサークルピットを要求し曲The Press Courpseをスタート。フロントマンJustinとギタリストChris#2が交互に歌い、時にはベーシストChris Headも参加するトリプルヴォーカルのパートもあり活動期間が長いバンドだけにライブ運びが非情に上手い。曲Turncoatが始まりオーディエンスも「Turncoat! Killer! Liar! Thief! 」と叫ぶ。90年代から全くメンバーチェンジも無いバンドだけにメンバー間のアイコンタクト等も無く曲が次々にと進む。限られた時間の中で無駄を一切排除した上メッセージも正確に伝えている所は流石。最後にバンドは曲Brandenburg Gateを披露し曲間にドラムPatがドラムセットをオーディエンス内に運び出し、オーディエンス内でPatとChris#2が演奏する演出。曲をクリックすれば映像が観れます。Chris#2がバスドラムに乗って熱唱。

この日の三番手は南カリフォルニアが産んだTSOL。結成メンバーギタリストRon Emory、ベーシストMike Rocheを含むメンバー達はセットチェンジ時も自らサウンドチェックを行っておりオープニング曲Give Me More時にフロントマンJack Grishamが合流。Jackはステージを練り歩きながら熱唱。バンドは続けて曲Superficial Loveをプレイ。若干Jackのマイクからノイズが出ており明らかにサウンドに問題があったがバンドは演奏を続行。Jackと共に結成メンバーであるギタリストRonがヴォーカルとして参加する曲In My Headではスピード感のあるパンクサウンドに乗ってJackとの掛け合いヴォーカルパフォーマンス。オーディエンスではサークルピットが発生。ピアノ/シンセのGregは楽曲の要所要所でメロディアスなキーを入れその昔はホラーパンク、ゴシックロックと言われたバンドの楽曲をよりミステリアスな雰囲気にさせている。名曲Code Blueがラストでプレイされるとオーディエンスが一斉に携帯を上げて動画レコードにした事にはニヤリとなってしまった、だがJackが曲中にこいよとオーディエンスを煽ると会場で「I want to fuck I want to fuck the dead」と大合唱に。

TSOLのライブが終了すると会場内は既に人で埋め尽くされており三組目のDead Kennedysのライブ前には前日のLimp Bizkit並みの人で賑わっていた。そんな中、ベーシストKlaus Flourideは自らサウンドチェックを行っており、ギタリストEast Bay Ray、そしてドラムD.H. Peligroもライブ開始前から自身の機材のチェックを行っており、ここまでの大御所でもサウンドチェックは自分でやっているんだと驚いた。サウンドチェックを短時間で終わらせるとヴォーカルRon Greerがウィスキー系のドリンクを片手に現れ「いつでも行けるよ」とGOサインを支持。独特なライブスタートとなり、Ronは持っていたお酒を管理人の横に居た女性カメラマンへ差し出し「悪いけどちょっとだけこれ持っておいて」とドリンクを手渡し準備運動するかのように腕をぐるぐる回し一曲目Forward To Deathを開始。女性カメラマンも行き成りの展開に呆然となっており、自身を含む他のメディア班達苦笑の中女性はRonのドリンクを持つ嵌めに。一曲目終わるとRonは女性からドリンクを受け取り「本当にありがとう」と笑顔でお礼。バンドはKlausのベースラインから始まる曲Winnebago Warriorをそして曲Police Truckをプレイ。未だにオリジナルヴォーカルJello Biafraの影響が濃いため比較されがちだがRonのパワフルで愛嬌のある人柄が現在もDead Kennedysをバリバリの現役で活動させている要因の一つであることは間違いない。勿論ダイナミックで笑顔を絶やさずドラムをプレイするD.H.やKlaus、East Bay Rayも素晴らしい演奏を披露、多くのオーディエンスがこの日初めてバンドのライブを見たと手を挙げていたが、初ライブの人達もDead Kennedysの歴史を体感できたであろう。

4組目は去年も登場した西海岸のハードコアパンク重鎮FEARである。メンバー達は早めにステージに立っており最後のフロントマンLee Vingが登場し曲Fuck You Lets Rodeoからスタート。実はバンドはLeeを残して全てのメンバーが去年総入れ替えをしており、ファンにとって嬉しい事は昨年のMUSINK 2018でゲスト出演したギタリストPhilo CramerとドラムSpit Stixが正式にバンドに復帰した事。そしてAFIやTiger Army等で活躍したGeoff Kresgeが入り、サイコビリーViva HateからEric Razoも加入。昨年ゲスト出演だったPhiloとSpitはライブで昔を思い出したのかMUSINK2018後にバンドに加入。初期メンバー3人が揃ったバンドは名曲Beef BolognaとCamarilloをプレイ。因みにLeeの掛け声「1234 1234」も力強く今年で69歳だがまだまだ現役バリバリである。Lee自身バンドの全盛期に一緒にプレイし今では考えられないがコメディ番組Saturday Night Liveに出演しセットを破壊する等伝説を一緒に作ってきたメンバー2人が傍に居てくれる事は心強い存在だと思っているだろう。バンドは年齢を感じさせない程速いハードコアパンクを披露。バンドはThe AquabatsのサックスJimmy The Robotをゲストに曲New York's Alright If You Like Saxephonesをプレイ。初期メンバーが復帰し、Leeが非情に楽しそうにプレイしていたのが印象的であった。

MUSINK 2019ラストのヘッドライナーThe VandalsのメンバーDave、Warren、Joe、Joshが大歓声の中登場。The Legend Of Pat Brownでスタートしたバンドは安定したプレイを見せる。ヴォーカルDaveとギタリストWarrenがスイッチしWarrenがヴォーカルとなる曲I Have A Dateも順調に進んでいたのだが、途中でWarrenが長い事曲を止めてジョークを飛ばしたりしたので数人のオーディエンスからブーイングが飛んでいた。The Vandalsもヘッドライナーという事で長い待ち時間があった為アルコールの量も多かったのかもしれない。いつもは和やかに笑えるI Have A Dateも少し不発気味であった、まあそんな事はバンドメンバーにとってどうでも良いことなのであろうが。一昨年前はThe Vandalsの後にNOFXが着いていた事で大分ライブ運びが違ったであろう。決してThe Vandalsの演奏が悪かった訳ではない。スーパードラマーJosh FreeseとベーシストJoe Escalanteのリズム隊は相変わらず素晴らしかった。バンドの代表作であるHitler Bad, Vandals Goodからの楽曲を多く披露しヒット曲Its A Factで盛り上げる等要所要所で彼等の持ち味であるメロディックハードコアな部分も出しており見ごたえのあるライブである事に変わりはなかった。しかし会場の方は中盤に差し掛かるに連れてオーディエンスが帰っていく姿が目立ち、オーディエンスの最後まで見る程The Vandalsに興味は無いという感じが伝わってきており少し残念であった。この日、主催者であるTravis Barkerは会場に居たのだろうがThe Vandalsのライブをどう思ったのであろうか。会場に最初から最後までいた身としてはこの日一番の盛況はDead Kennedysのライブであった。

総評:全体的にハードな初日、ヒップホップやラップにメタルが絡んだ二日目、そしてベテランパンクの最終日となったMUSINK 2019。初日のメタル、ハードコアなMUSINKは盛況だった為、今後も少しメタルな日にちがあっても良いかと思った。しかし今年一番の話題は二日目のヘッドライナーLimp Bizkitである。南カリフォルニアにて久しぶりにライブを行ったバンドに多くのファンが詰め掛けており、久々のLimp Bizkitを堪能できた事だろう。またライブにおいてもFredの声も出ておりGreen Dayのカバーには誰もが驚いた。米国ではここ数十年Limp Bizkitはダサいというイメージが付いていたが、最近になってニューメタルジャンルが復活しだした事もありバンドも再認識される形となり、世間の見方が大分変わった様だ。こういう風向きが変わったチャンスを逃さず新譜を発表して欲しいものである。

 

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