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Cracked Concrete Wall

​SLAYERのKerry Kingのバンドが遂に発表。

2019年末にSlayerが解散し早4年が経過。ギタリストKerry Kingがこれまで秘密にしていた自身のソロバンドを公開。

Slayerの結成メンバーでありギタリストKerry Kingが新たにソロバンドを立ち上げその全貌を公開しました。

Lamb Of GodやGojira等のアルバムを手掛けたJosh Wilburと共に制作したソロデビューアルバムFrom Hell I Riseを5月17日にReigning Phoenix Musicからリリース。

From Hell I Riseのトラックリスト:

1:Diablo
2:Where I Reign
3:Residue
4:Idle Hands
5:Trophies Of The Tyrant
6:Crucifixation
7:Tension
8:Everything I Hate About You
9:Toxic
10:Two Fists
11:Rage
12:Shrapnel
13:From Hell I Rise

新バンドKerry Kingのメンバーは:

ヴォーカル:  Mark Osegueda (Death Angel)
ギター:  Kerry King
ギター:  Phil Demmel (Vio-lenceとMachine Headの元メンバー)
ベース:  Kyle Sanders (HELLYEAHやbloodsimpleの元メンバー)
ドラム:  Paul Bostaph (Slayer)

そして先行シングル曲Idle Handsを公開。

 

 

 

今回KerryがRolling Stone誌のインタビューを受けソロバンドの事、そしてSlayerの事等を語りました。当サイトではSlayer解散前にヴォーカル兼ベーシストTom Arayaのご家族のインタビューを掲載しました。Slayerが解散して早4年が経過。Kerryは2021年に奥さんと共にニューヨークへ引っ越しており、KerryのSlayerに対する思い、そして自身のソロバンド誕生の経緯や新譜の魅力を語ったRolling Stone誌のインタビューを掲載する事にしました。

2018年にTomがバンドを終わりにしようと話した時、Kerryは方向転換する時だと悟ったと説明。


「俺はまだ終わる気は無かった。唯一の後悔は、最終日に本当に終わってしまったことだ。まるでスポーツの大会とかで優勝してそのまま去る様な終わりだった。その直ぐ後に世界ではパンデミックが発生し糞みたいな世の中になってしまった。ちょっと奇妙だったな。」


Slayer解散時、Kerryは直ぐに次のプロジェクトに移行し新アルバムを発表しようと計画していたものコロナウイルスによるパンデミックによって全てストップしてしまったと説明。Kerryはソロ新譜From Hell I Riseについて、Slayerで発表したRepentlessからの延長線であり、タイトルトラックFrom Hell I RiseはRepentlessのセッションから引き継いだ2曲のうちの1曲である事を説明。


「この曲はRepentless制作時に既に完成していてレコーディングしたんだ。でも演奏の部分に満足していなかったから、"よし、次のSlayerの作品ができるまで、この曲はしまっておこう"と思ったんだ。そうならなかったから、今は自分のソロ新譜に入ってるんだ。もう1曲のRepentless制作時の曲はRageだ。」


Kerryは発表されたソロ新譜From Hell I Riseの次のソロアルバムの制作も既に行っている事を発言。Kerryは、Repentless制作時に作って再レコーディングできた4曲、このソロ新譜のセッションで未使用の6曲がまだ残っており、さらに今も作曲を続けていると説明。

 

「パンデミックが俺に与えてくれた時間を利用しているんだ。あの時俺はただ座っているだけじゃなかったんだよ。」

Rolling Stone(以下RS): あなたにとってIdle Hands(怠惰)とは何ですか?
Kerry: Idle Handsとはこの4年間俺がやってきた事。そしてFrom Hell I Rise(地獄から私は立ち上がる)がこの4年半の俺の心境だ。

RS: この曲のメインリフには、あなたのトレードマークであるスタイルが表れています。このサウンドをどう表現しますか?
Kerry: 本当の言い方は知らないが、俺は"壊れたリズム"と呼んでいる。ヴォーカルはリフに続く。そして大きなリリースがコーラスだ。ヴォーカルのMarkはただひたすら大きく、エスカレートしていくんだ。

RS: Slayerのアルバムを何枚も作ってきて、From Hell I Riseがどんな作品になるかは、書いている段階でわかっていたのですか?
Kerry: 曲の展開は2年くらい前から考えていたんだ。ライブのセトリのように構成した。ステージに上がるのに必要なイントロ、すべてを吹き飛ばすオープニングがある。そしてそれをヘビーなものでバックアップする。それは曲Residueだ。
それから曲Tensionは不気味な曲だ。曲Two Fistsは80年代のパンクソング。曲Crucifixationには中盤に大きなブレイクダウンがあり80年代のスラッシュだ。

RS: 最近の創作活動はどのようなものですか?
Kerry: 凄く古臭いよ。自分のブーツくらいのサイズのアンプで演奏し、スマホで録音する。フットボールの試合かスポーツニュースを見て、何も考えず、自分の手に任せるんだ。録音するのに十分集中している事を確認しながらね。

RS: Kerry Kingというバンド名にしたのはなぜですか?
Kerry: 俺じゃないよ。ずっと"King's Reign"になる予定だった。俺は皆に言ったんだよ「俺は見栄っ張りじゃないから自分の名前を出したくないんだ」ってね。決まりかけた"Blood Rain"についてしばらく皆で話し合ったけどうまくいかなかった。ちょっとでもクールなバンド名を思いつく度に、東欧の無名バンドに既に取られていた。Kerry Kingになったのはあのロゴが好きだったからだ。

RS: 2週間でアルバムを制作したというのは本当ですか?
Kerry: 聞いてくれよ。ドラムのトラックは、Paulと俺が夢中になっていたから5日くらいでできたんだ。

RS: Slayerはそういうレコーディングをしたことがありますか? 
Kerry: 無いね。アルバムGod Hates Us All(2001)はヴォーカルを除いて9日間で完成し最終的に3ヵ月かかった。俺のソロアルバムでは、Paulは俺が知っている中で最も準備万端で臨んだんだ。ドラムの後、俺はリズムギターをやって、リードギターは全て1日でやった。1日で18本のリードを弾いたよ。次の日スタジオに戻り、その内の7、8曲を整えたね。

RS: このアルバムのためにどのようにバンドを編成したのですか?
Kerry: Paulは一緒にプレイしてくれる事が解っていた。当初はSlayerで一緒に演奏したExodusのGary Holtを起用するつもりだったが、Slayerから離れれば離れるほど、このバンドを"薄めのSlayer"とか"ベイビーSlayer"と呼ぶ奴が出てくると思った。どうせそう言われるんだからGaryを入れて火に油を注ぐ様な事はしたくなかった。俺とGaryの間に確執はないよ。

RS: Phil Demmelはどのようにしてこのプロジェクトに参加したのですか?
Kerry: Philは2018年末、Garyに代わって4公演Slayerに参加した。彼が俺達の為にしてくれた事は、俺だったらどのバンドにもできないと思う。彼は基本的に2日間Slayerの演奏を観て、即パイロ装置の位置やセットのテンポを把握した。俺は大のJudas Priestファンだが、Judas Priestの為でも俺はそんなことはできないだろうね。
 

そうしたらPaulが「なあ新プロジェクトにDemmelはどう?」って言ってきたんだ。俺は直ぐにPhilにメールした所返信がきてPhilは「一昨日Machine Headとの仕事が終わったところだ」と言ったんだ。俺は"それは完璧だ"と思ったよ。

 

(補足Philは自身のInstagramにて、自身が参加したSlayerでの公演時にKerryに今後の予定を聞いて少しアプローチを掛けていたと発言しています。後日、Kerryからソロプロジェクトへの打診がありPhilは了承したそうです。Philは実に2019年8月から今日までこのプロジェクトを極秘事項としていた事を語っています。また楽曲は全てKerryとPaulで書いたそうですが、Phil自身も少しアイディアを出していたそうで曲Idle HandsのソロパートはPhilが初めてKerryに送ったパートだったと説明。)

https://www.instagram.com/reel/C3I9YG3PBFz/?utm_source=ig_embed&utm_campaign=loading

 

RS: あなたとPhilはお互いにどの様に演奏していますか?
Kerry: 彼は思ったよりテクニカルなんだ。彼は俺と同じカリフォルニアスラッシュ出身だ。彼は出来上がったリフを聴かせてくれ「このソロはメロディックすぎるか?」って聞いてきたりしたね。俺は「お前のリードだから。不愉快なほどダサくない限り、つぶすつもりはないよ」と言っていたね。彼にリズムギターは弾かせなかったから大きな影響はなかったけど、彼がアルバムにもたらしてくれたものは気に入っているんだ。

RS: 2人目のギタリストがいることに驚きました。私はてっきりギターとベースは全部あなたが弾くものだと思っていました。
Kerry: 俺はそれをこれまでやってきた。でも今回は違うんだ。これまでSlayerのアルバムのリズムギターとベースは全部俺がやっていた。ベースはTomがやらなかったからいつも俺が担当していたんだ。

RS: Kyle Sandersのベースはこの作品に何をもたらしましたか?
Kerry: このプロジェクトが始動した頃、俺はKyleに(俺とPaulで作った)初期のデモ音源を送った。その3日後、彼はベース付きのデモを送り返して来た。俺は"こんなことをしてくれる奴は初めてだ"と思い直ぐに彼を迎える事にした。

RS: Mark Oseguedaの歌声は素晴らしいですね。正にシンガーですよね?
Kerry: Markについては、彼は早くからこのプロジェクトに乗り気だった。ただ、俺が中々彼を迎え入れなかった。俺は"何が起こるか待ってみよう"という感じだったね。例えば、Judas PriestのRob Halfordから連絡があって「やあ君のバンドのシンガーになりたいんだ」と言われたら、そっちに行くしかないよな。

RS: Tony Iommiのアルバムの様に全曲で異なるシンガーを起用することは考えなかったのですか?
Kerry: 再現性がないから反対だったね。例えばRob Halfordが曲を歌ったら誰がライブで歌うのか?Markならうまく出来るかもね。でも俺は同じメンバーで演奏する古き良きアルバムを作りたかった。だからゲストミュージシャンは要らなかったんだ。

RS: Pantera等のPhil Anselmoがあなたのアルバムで歌うという噂が流れていました。その可能性はあったのですか?
Kerry: 確かにヴォーカルPhilのプランも検討した。俺のマネージメントも、プロモーターも、レコード会社も、皆Philにしたかったんだ。Philは俺の良き友人だが、適任ではないと思っていた。それは彼の能力とは関係なく、ただ彼が適任ではないと思っていただけなんだ。このアルバムでMarkの歌を聴けば、彼こそが適任だとわかるだろうね。結局のところ、もしPhilをピックしていたら、俺達は直ぐにアリーナクラスの会場で新曲を演奏し、Panteraの楽曲を演奏し、そしてSlayerの楽曲も演奏しファンを喜ばせていただろうからね。Panteraの再集結の話が持ち上がった時Philの選択肢は終わったんだ。

RS: あなたがPanteraの再集結に参加するという噂も聞きましたよ。
Kerry: それについては肯定も否定もしないな。

RS: 数年前、MarkがMetallicaメンバーのThe Wedding Bandと一緒にMinor Threatの曲のカバーを歌っているのを見ました。Death Angelでやっているのとは違っていて、とてもいい声でした。
Kerry: 彼は超多才だ。Death Angelとは違うものにする為に、彼は努力したのさ。このアルバムでは彼ができることの50%にも触れてないだろうね。Markは俺が曲にどのような歌い方を期待しているかを知っていた。デモで俺はとても説得力のある歌い方をしたが俺には引き出しが余りない。曲ResidueではMarkは素晴らしい歌を披露したから俺は彼に「このレベルで持続できるか?俺の作品の為にお前の声が枯れるような事はしてほしくないんだ」と言うと彼は「行ける」と断言した。彼はもっとハードな曲にも挑戦し同じようにやってのけたんだ。

RS: 彼の歌い方はまるでSlayerのようですね。
Kerry: まあ、これは俺がヴォーカルをまとめているからね。Tomは思い切り叫ぶことができた。Tomからそれを奪うつもりはない。Tomの信念は行ったり来たりするかもしれないが彼を非難するつもりはない。でもMarkは毎日スタジオに来て、どの曲も1秒1秒大切にやってくれるんだ。

RS: Tomの話になりますが、彼が引退を希望していることをどうやって知ったのですか? 
Kerry: Slayerのツアー中、若いメディアの奴がTomにインタビューしていたんだけど、Tomは「次のアルバムの話をする前に、Kerryと話をしなければならない」みたいなことを言ったんだ。そんな事を言うよりも正直に「次のアルバムはたぶん作らないよ」と言えばよかったんだ、それか俺とそのような会話をするべきだったと思うね。
インタビューを聞いていた俺は「えっ、これはどうなるんだろう?」と思っていた。でも結局Tomからは「俺はこれまでだ」だった。予想外だった。でも、Tomがそう決めたのなら、俺はTomを説得するつもりはないと決めていた。

RS: Tomはなんで終わりか理由を言ったのですか? 
Kerry: ツアー中、体力の消耗が激しかったんだろう。Tomは家族の元へ帰りたかったんだと思う。俺達は誰もスポットライトを浴びようとはしないけど、Tomは特にそうじゃなかった。Jeff Hannemanがいた頃、Tomは世捨て人のようだった。Tomは名声を求めなかった。俺は名声を容認している。誰かがそういう奴にならなければならない。

RS: 私はてっきり二人の政治的イデオロギーが違うことが分裂の原因なのかと思っていました。TomがSlayerのインスタグラムにTrump元大統領について投稿した時、あなたはかなり怒っているように見えましたが。(Tomによるインスタグラムの投稿についてはインタビュー下にあるサイドノート1をどうぞ)
Kerry: Tomが投稿したあの写真にはマジでキレたね。 でも、バンドを辞めるほどじゃなかった。俺的には「おい、お前のSNSの使用意義はそんな為か?このバンドであのバカのことを気にかけているのはお前だけだろ。」俺はTrumpを支持していないし、GaryもPaulも支持していない。それはお前の意見であって、俺達バンドの意見ではない。俺は決してそんなことはしない。

RS: そんな深いことになっていたとは知りませんでした。
Kerry: まあ、俺とTomは一度も気が合ったことがないんだ。例えば俺がチョコレートシェイクを欲しがると、彼はバニラシェイクを欲しがる。「Kerry空は何色?」「青だ」。「Tom空は何色?」「白だな」。俺らは違う人間なんだ。年月が経てば経つほど、それは強くなっていった。


俺がTomと遊びにいくと思うか?彼はテキーラが少し好きで、俺はテキーラが大好きなんだ。俺らはまったく違う人間だから一緒につるむつもりはない。でも一緒に素晴らしい音楽とライブを作り上げた。

RS: Slayerが終わったと思ったのはいつですか? 
Kerry: 自分のやっていることを何も変えるつもりはないと思っていたから、すぐに終わった感を受けたよ。最後の2公演でLAのForum会場に行ったとき、特に最後の公演だな"この体制でやるのはこれが最後だ"と思った。


ラストライブは大変だった。俺にとって一番難しかったのは、ライブ中頭をフル回転させ演奏を失敗しないようにすることだった、何故なら自分のそれまでの人生が全て頭の中にあったからね。

RS: ラストライブ以来Tomと何か話をしましたか? 
Kerry:メールもしていないし、Eメールもないね。
バンドで一緒に活動した他メンバーとは電話やメール、Eメールで話すよ。もしTomが俺に声をかけてきたら、たぶん返事をするだろう。Tomが何を求めて俺に声をかけてきたかにもよるけど、でも俺は今Tomの死を願ったりはしない。

RS: Repentlessのセッションでやった曲を新譜From Hell I Riseのために再レコーディングすることについて、Tomと連絡を取りましたか?
Kerry: 関係ないよ。俺が書いた曲だし。もし彼が何か書いていたとしても、それを使うとなったら俺はMetallicaとDave Mustaineの初期の頃のように変えていただろう。でも、残った曲は俺のものだから何の問題もない。

RS: SlayerのオリジナルメンバーではDave Lombardoがいますが、彼がFacebookにバンドの裏側の事情を投稿した後、バンドは2013年に彼を解雇しました。彼とその後話をしましたか? (Daveの投稿についてはインタビュー下のサイドノート2をどうぞ) 
Kerry: いや、Lombardoは俺にとって死んだようなものだ。

RS: それ程関係が酷いとは。
Kerry: あいつは俺達がオーストラリア行きのフライトに乗っている最中に自身のSNSに投稿した、俺達が14時間も反論できないことを知っていな。俺達を裏切りやがった。あの時期あいつをバンドに引き留めていたのは俺だけだった。Tomはその前からあいつを脱退させたがっていたし、Jeffはクモに噛まれバクテリアに感染したばかりで、ツアーから離れあまり一緒に演奏していなかった。Jeffの離脱事情もあり俺は「今のバンドにはDaveが必要だ」と言ってきた。「今すぐ彼を代えたらファンは納得しないだろう」とバンドに言っていた。なのにあのオーストラリア行きでの暴挙だ。あいつは俺をも裏切った。俺は思ったよ「お前をバンドに居させる様にしていたのは俺だぞ」と、「知るかあんな奴」と思ったね。

RS: 一体どうしてあの件が起きたのでしょうか? 
Kerry: あいつはすごく影響されやすいんだ。あいつは当時彼の弁護士だった女性の話をよく聞いていて、彼女は俺らがMetallica級の金を持っていると思っていた。だから彼女はあいつにクソみたいなことを吹き込んで、あいつは自分が受け取っている金額よりも多く貰えるはずだと思い込んでいたんだ。暴挙に出てお金を取ろうとするより先ずは状況を知っている人に相談した方が良かったよな。

RS: Jeffがバンドから離れなければならなくなった後、Slayerの力関係は変わりましたか?JeffはあなたとTomの間の仲裁タイプの様でしたよね。 
Kerry: Paulはずっといたけれど長い間俺達三人でバンドを運営している状況だった。実際、Paul呼び戻す決め手となったのはJeffの一票だった(Paulは1992年にDaveの後任として加入し、Daveが復帰する2001年までバンドで演奏。そして2013年にPaulは復帰)。

RS: Jeffなしで前進するのは難しかったですか?
Kerry: いつでも俺達はJeffが復帰し、できれば彼が立ったBIG FOURのライブだけでなく、もっと多くのライブに参加してくれるものと思っていた。でもそれは実現しなかった。Jeffが最後にツアーに参加したのは2010年だったな。彼はまた来たいと言っていた。そして俺は彼に言ったんだ。「もしお前が100パーセントでないなら、すぐにファンにバレてしまうよ」とね。

 

彼が戻ってきたBIG FOURの前にも、そんな会話をしたんだ。彼は4曲覚えて来た。あの時俺はTomと相談し「なあ2曲演奏するのがバンドにとってもJeffにとっても最善の選択だと思う。ファンは彼がステージに戻って来た事に興奮し彼のプレイはそこまで聴いていないだろう」と言ったんだ。それでJeffに相談したら「ああ、でも4曲も覚えて来たんだ」と言うんだ。俺は言ったよ。「お前は久しぶりのステージで興奮状態で演奏するだろう、ファンも熱狂するだろう。しかし3曲目になるとファンはお前がまだ100パーセントで演奏できないことに気づき始めるぞ」と説明したんだ。
あのJeffとの話は人生で一番難しい会話だったかもしれない。俺は彼に「残念だがこれが現実だ、俺はお前の為にやっているんだ」と言った。今にして思えば、あのライブについて悪く言う人は誰もいなかった。

RS: あなたとJeffが一緒に演奏する姿は、まるで同じサウンドの片割れのようでした。 
Kerry: 鋭いね。彼と俺は同じような人間だった。いくつか違う意見もあったけど、最初の頃は見分けがつかなかった。年を重ねるにつれて、それがよりはっきりしてきた。

RS: Jeffはあなたの曲作りにどのような影響を与えましたか?
Kerry: 彼からはパンクの影響を受けたね。それまでの俺はパンクに興味なくRonnie James DioやRob Halfordといったシンガーに夢中だった。Jeffのおかげでパンクを知り、それ以来自分の音楽にもパンクの要素を取り入れる方法を知ったんだ。曲Everything I Hate About Youはスラッシーなパンクだし、曲Two Fistsは80年代のグルーヴパンクだ。

RS: 生前、Jeffにお別れは言えましたか? 
Kerry: いや、彼が入院していることは知っていた。容態が悪いのも知っていたけど、そこまで悪いとは知らなかった。Paulと一緒にリハーサルをしていたんだけど、ある日マネージャーから電話がかかってきて「Jeffが亡くなったよ」って言われたんだ。俺は"こんなことになるなんて"って思ったよ。


面会できるチャンスはあったんだ。彼は俺の自宅から1時間しか離れていないところに住んでいた。その方向へ出向かなかった、勿論そんな言い訳は通らないよね。でも最終的な別れがくるまではわからない。"クソ、昨日会いに行けばよかった"と思ったよ、でもそうはならなかった。

RS: Slayerはもう完全に終わったのですか?あなたとTomはまたSlayerのアルバムを作りますか?
Kerry: 100%NOと言える。何故なら俺には新しい屋号がある。Slayerではないけど、Slayerのように聞こえる。どうせレコードはもう売れない。ただ、俺が街に来たときに何を演奏しているのか知ってもらうために、商品を出すための手段なんだ。


Slayerはまたツアーをするか?それはないだろうね。Slayerがまたライブをやる可能性は?シナリオはあると思う。俺はそれを欲している?いや、自分のソロキャリアをスタートさせる準備をしているところだ。だから、もしそうなれば、そうなる。でも、少なくともこの先10年はこの活動でやっていくつもりだよ

RS: 新しいアルバムの歌詞は、あなたのSlayer 時代までさかのぼる2つの明確な敵に焦点を当てていますね: キリスト教と政府。それはなぜですか?
Kerry: まあ、俺が宗教というものを、人生に何かを必要とする人々にとって、乗り越えるための松葉杖だと考えていることは周知の事実だ。アメリカにおけるその松葉杖はイエスだ。世界中には、どんな形であれ、どんな名前であれ、多くのイエスがいる。俺はそんなものはくだらないといつもそう思っている。これほど多くの人々が、自分たちを鼓舞する何かを必要としていることに驚かされる。その為に俺の家族や友人がいて支えてくれているんだ。

RS: 政府やキリスト教のない社会を見ることができますか? 
Kerry: まあ、政府は必要だ。ただ、正しい政府のあり方を教えてくれる大学の教科書があればいいね。俺が書いた新譜の収録曲Toxicのラインに、Too many people spend too much time forcing their opinion on other people’s lives (他人の人生に自分の意見を押し付けることに時間を費やす人が多すぎる。)

RS: この歌詞は何にインスパイアされたのですか? 
Kerry: 俺がこの歌詞を書いたのは、ちょうどRoe vs. Wade裁判が判決を受けた頃だった。このインタビューの最大のポイントは、Trump政権下で採用された最高裁判事は皆、職を得るために嘘をついたということだ。クソな裁判官は終身雇用を得るために嘘をついた。なんてめちゃくちゃなんだ。彼らはRoe vs. Wadeを覆した。最高裁判事が嘘をついたという事実を乗り越えるには長い時間がかかった。それは数々の収録曲に表れている。曲ToxicやResidueにね。

RS: 曲Rageも政治的ですね。Markは"Alternative facts for an alternative God(オルタナティブな神のためのオルタナティブな事実)"と歌っていますね。
Kerry: Trumpが教会の前で聖書を持って写真を撮るためにホワイトハウスを出たときのことを覚えているか?曲Rageの歌詞には、警棒で顔を殴られるとある。Trumpは、俺達ほど賢くない人間なのに、外に出て、クソ教会の前で聖書を持って写真を撮らなければならなかった。街頭にセキュリティの為にいた警官がゲシュタポのように見えた。警官が80歳の老人を突き飛ばしたのを覚えている。彼は後ろに倒れ頭の骨にひびが入った。


俺は"よくそんなことをして夜眠れるな?"って感じだよ。俺はKerry Kingだ。お前が今まで聞いたこともないようなめちゃくちゃな言葉を書いてきたけど、それでも俺は人間のことを思っている。あの日はとても悲しかった。よくもまあ、こんなことをやっておいて、"OKだろ"と言えるのか。警官達に"暴力的な制圧は大丈夫だ"と言えるんだと。George Floyedの件も、どうしてOKだと言えるんだ?それは間違っているだろ。それが俺達の社会だ。

RS: 11月の米大統領選の準備はできていますか?
Kerry: もう国外に出る準備はできている。

RS: この話をすることで、Trumpを支持するあなたのファンを遠ざけてしまう心配はありませんか?
Kerry: ファンは俺やバンドの音楽を楽しんでいると思う。ファンは俺が政治的にどう考えているかにそれほど影響されないと思うし、彼らには彼らの意見がある。俺は彼等を説き伏せる事はない。俺は事実を述べる。あなたがそれを信じるなら、それはいいことだ。そうでないなら、自分の小屋にいればいい。

RS: ロシアによるウクライナ侵攻後、このアルバムで戦争についての歌詞に一部変更したと聞きました。
Kerry: ウクライナでの戦争は、俺が歌詞をたくさん書いている最中に起きたもので、収録曲Trophies of the Tyrantはウクライナ戦争について書いたんだ。曲Two Fistsは戦争について書いた。

 
中東では有史以来戦争が続いている。でも、このウクライナ戦争ではプーチンが国民に嘘をついて、ウクライナ人を処刑しているんだ。だから俺は、"自分の歌について、なぜ彼らに素晴らしさ以外の自身の思いを感じてほしいのか?"と思い作ったんだ。


俺は年寄りだ。20歳じゃない。地獄を見せる必要はない。いつも書きたいことを書くだけだ。ただ、戦争は悲劇でしかないから、そこで起きている事には無神経になりたくなかった。新しいバンド、新しいアルバムにそんな汚名を着せたくなかったんだ。

 

RS: 年齢といえば、今年60歳になることをどう感じていますか?
Kerry: 俺はまだ気が若いよ。心も若い。今でも若さを感じさせる音楽を書く。そうは言っても、年を取れば色々なことが起こる。怪我をすれば長い間痛む。でもそれは俺の音楽には影響しない。

RS: ツアー活動に戻る準備はできていますか?
Kerry: 先日、ワイフに言ったんだ。「人生で4年半家にいたことがないから、ツアーに行くのが超心配なんだ」ってね。慣れるまでは時間がかかるだろう。でもひとたびステージに立てば、とても楽しくなりそうだ。

KerryのRolling Stone誌でのインタビュー:

https://www.rollingstone.com/music/music-features/kerry-king-slayer-idle-hands-from-hell-i-rise-1234951010/

Kerry Kingのバンドはこれまで以下のライブを発表。
5/9      Welcome To Rockville, US

5/16   Sonic Temple Art & Music Festival, US
6/8      Festival Mystic, Poland
6/27    Hellfest, France
そして7/19から8/31までのLamb Of GodとMastodonの「
Ashes Of Leviathan」USツアーに帯同。

サイドノート1:

2017年1月頃。Tom Arayaは、バンドのInstagramを通じてバンドのクラシックラインナップとDonald Trumpをフォトショップで加工した画像を投稿。
https://www.instagram.com/p/BPqUjICAi8d/?utm_source=ig_web_copy_link
直ぐに反響を呼び同投稿は削除されたがTomは再度投稿し"面白いと思ったんだ。投稿に対するコメントには肯定的なものもあれば否定的なものもあった。もっと驚いたのは、2時間で1万件もの「いいね!」がついたことだ。しかし、(当時の)新大統領に対する嫌悪をコメントするのがこんなにいるとは想像もしなかった。彼の好き嫌いにかかわらず、彼は大統領なんだよ。翌朝起きてみると、誰かが投稿を削除していた。何故なんだ。"

その後、再度Tomは以下にコメント、「理解している人もいれば、理解していない人もいる。投稿で述べたように、俺は写真が面白いと思ったんだ」と説明。
このTomの投稿についてKerryは当時以下にコメント「間違えてはいけない。これはKerry VS. Tomの問題ではない。Tomは俺のブラザーだ。写真について意見の違い?勿論だ。世界の終わり?そんなことはない。俺はSlayerとファンの関係が大好きだ。それは世界で一番だ。我々の共通の敵を倒そうじゃないか」と発言。


Tomの政治的な立ち位置については分かりませんが、Tomが同写真を投稿した同じような時期にPaulと一緒にインタビューを受けている動画があり、その中でPaulは「Trumpは俺の人生で最大のジョークだ。彼に賛同している人は多いが俺的にアメリカ人として最も恐ろしい事だ」と発言している横でTomが「うんうん」と頷いているのが分かります。
https://youtu.be/49YDsf8hswk?si=e4R0YMi96dVIHrvn  (3:07ごろ)


サイドノート2:

2013年2月頃。Dave Lombardoは予定していたオーストラリアでの公演に参加できなくなった事を謝罪し、バンドの収益が自分にはしっくりこない事と主張し「俺はSlayerのツアー収入の90%が、マネージメントに支払うプロ報酬を含む経費として差し引かれ、バンドに何百万ドルもの損害を与え僅か10%以下を俺達に分配していることを発見した」と説明。
Daveは「俺はKerryとTomと一緒にオーストラリアに向けてリハーサルを行っている時に、今後Slayerが自信を持って自分達を守り、ファンのためにベストを尽くせるような新しいビジネスモデルを提案した。Kerryは変更する事に興味がないとし、もし俺がその点を主張したいのなら、別のドラマーを見つけると言った。 そして後日バンドの弁護士からオーストラリアでの公演を外した事の連絡が来た」と投稿。
バンドはJon Detteを入れてオーストラリア公演を行いました。
Daveは翌年に行ったドラムクリニックにて同問題について再提起しています。
https://youtu.be/IPHjNG1m22I?si=7lVwZ2RCPKFj8K9Q

Kerry King

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