このコーナーでは、アメリカ西海岸Orange County(OC)にて行われるライブレポートをお届けします。

第17回: Behemoth - Blasfemia Amerikaツアー - in Santa Ana, CA

 

世界中で絶賛されたBehemothの最新作The Satanistが発売され早1年。バンド自身も同アルバムをバンド史上最高傑作とし、フロントマンNergalの白血病からのカムバックという内情も含め、バンドは正に絶頂期を迎えています。
 
バンドはこの度The Satanistの最初から最後までの全曲ライブを行う事を発表。欧州を代表するブラッケンデスメタルバンドがサポートに着けたのはデンマークからの刺客、ソロ女性ブラックメタルプロジェクトMyrkurである。デスメタル界のべヒーモスとなったBehemoth、そして新人離れした高い歌唱力と演奏力を持つAmalie Bruun率いるMyrkurのダークなライブをお楽しみください。
 
 
Behemoth U.S. Tour 2016

Behemoth U.S. Tour 2016

ポーランド産ブラッケンデスメタルBehemothが最新作The Satanistを発表し丸2年。バンドのフロントマンNergalが白血病から回復し制作された5年振りのカムバック作は彼らのブラックメタルのルーツを探りながらも新たな領域に手を伸ばした意欲作であり現在でも同アルバムをバンド至上最高傑作という人も多い。今回そんな同アルバムをフル演奏するというのだから、ファンは集まらない訳はない。2年聴き続け慣れ親しんだ同作品を愛するコアなBehemothファンから近年Behemothに興味を持ったメタルファンがOCに集まった。

会場はSanta AnaのObservatory

会場はSanta AnaのObservatory

前回Napalm Deathを観たObservatoryが会場である。この日は開場前から長蛇の列をなしており改めてBehemothとThe Satanistという作品の人気が伺える。写真のラインはWill Callチケット受け取りの列である。このラインの流れが異様に遅く開場入りが大分遅れてしまった。

マーチの列が見たこと無い程の盛況ぶり。

マーチの列が見たこと無い程の盛況ぶり。

写真は自身のスマートフォンのパノラマで撮影したものである。Observatory内にあるマーチブースが写真中央上にあり半時計周りに列をなしている。列はそのままマーチテーブルのある方に戻ってその後も続くという状態だった。こんな盛況なマーチブースを見るのは本当に久しぶりである。

オープニングMyrkurのマーチ

オープニングMyrkurのマーチ

去年デビュー作Mを発表したオープニングのMyrkurのマーチはこじんまりした感じ。寂しかったのはマーチラインの人々は一度このMyrkurのマーチの前を通り過ぎてBehemothのマーチに流れるラインになっており、Myrkurマーチ担当者の兄ちゃんは通り過ぎて行く人々に痺れを切らしたのか席を空けて暫く戻ってこなかった。

Behemothのマーチ1

Behemothのマーチ1

こちらはBehemothのマーチ。テーブル奥にも見えるがフロントマンNergalことAdam Darski作のConfessions Of A Hereticが売られていた。自身も数ヶ月前に購入し只今読んでいる最中だ。

Behemothマーチ2

Behemothマーチ2

こちらはBehemothのTシャツマーチ。新しいロングスリーブが欲しかったので購入。マーチを管理する男性は一人で切り盛りしていた。大勢の人が購入してくれる事で嬉しい悲鳴を上げていた。

会場入り、既にSold Out状態。

会場入り、既にSold Out状態。

マーチブースから急いで会場に入るとMyrkur出演前にも関わらず大勢の人で犇きあっていた。既に前回のNapalm Deathのオーディエンスを軽く越える程の盛況振りであり、Sold Outではないかと思ってしまう。メディアブースに居るカメラマンの人数も圧倒的に多い。というかカメラマン達が左へ右へ移動出来ないほどであり改めてBehemothの人気に驚いた。

デンマーク産ブラックメタルMyrkur登場。

デンマーク産ブラックメタルMyrkur登場。

会場が暗転するとオーディエンスから歓声がおき今回初めて観るMyrkurが登場。ヴォーカルであるAmalie Bruunのソロバンドであり、彼女自身このMyrkur以外にもポップミュージックで活躍しているアーティストである。

Myrkurの研ぎ澄まされた音に会場が沸く。

Myrkurの研ぎ澄まされた音に会場が沸く。

恐らく予備知識を持っている人は余りこの会場に居なかったであろう。去年デビューしたてのブラックメタルプロジェクトのサウンドはブラックメタルを基礎として北欧シンフォニックアレンジ、アンビエント調、ポップ、民謡風メロディと色んな要素が散りばめられた楽曲が魅力。写真のギタリストはノルウェー産ブラックメタルMayhemのTeloch。

Nergal顔負けのスクリームも披露。

Nergal顔負けのスクリームも披露。

Amalieの歌唱力は中々のもの、スタイルの違うヴォーカルスタイルを使い分けパワーポップで力強く唄えば、子守唄の様な穏やかな唄い方に変化し、写真の様に激しいデスボイスでも可能。ギターやドラムはブラックメタルの激しさ暗さが常にありAmalieのヴォーカルスタイルと上手い具合に合わさっている。

メンバーはデンマークのデスメタルバンドから。

メンバーはデンマークのデスメタルバンドから。

こちらはCorpus MortaleやIlldisposedでドラムを勤めるRasmus。畳み掛けるツーバスプレイでバンドのサウンドに激しさを掛ける。

ピアノやギターも弾くAmalie。

ピアノやギターも弾くAmalie。

先ほどの写真ではピアノを弾きながら唄うAmalieもいたが、ギター演奏しながらヴォーカルも出来るところマルチプレイヤーである。最後はスウェーデン産ブラックメタルの始祖的存在Bathonyの曲Song To Hall Up Highをカバー演奏。Bathoryとは渋いチョイス。バンドは大歓声の中ライブを終了。

Behemothオープニング

Behemothオープニング

Myrkurのセットが終了すると会場内のライトが点灯し本当に大勢のオーディエンスでぎっしりであった事に驚く。Behemothを始めて生で観たのは2006年に行われたSounds Of The Undergroundという大型メタルツアーであった。当時一緒に出演していたAs I Lay DyingやTriviumの出演よりももっと前の時間帯に出演。当時、Demigodを発売していた彼らは米国での知名度は低く、知る人ぞ知るデスメタルバンドであった。あれから10年、彼らは米国でヘッドラインツアーを行え、そして中堅ライブハウスを完売できるバンドに成長した。バンドはダークなSEからメンバーが登場。大歓声の中まるでデビルに祈るような感じでNergalは背を向けて立っている。

最新作The Satanist全曲ライブがスタート

最新作The Satanist全曲ライブがスタート

前述でも紹介したが今回のライブはBehemoth最新作The Satanistの全曲ライブである。と言う訳で一曲目はオープニングトラックでありシングル曲のBlow Your Trumpets Gabrielから。オーディエンスは大合唱アンドクラウドサーフ開始。メディアセクションは降りてくるオーディエンスと受け止めるセキュリティーの合戦が開始。これは3曲撮影させてくれるのかなと不安に感じつつ、全く身動きの出来無い場所で必死に一枚でも多く撮影開始。

BehemothのベースOrion

BehemothのベースOrion

2003年に加入したベースOrion。アルバムDemigodから参加している彼も10年以上Behemothでプレイしている。バンドは二曲目Furor Divinusをプレイ。上から降ってくるオーディエンスを避けながら撮影。

香炉をまくNergal

香炉をまくNergal

曲Messe Noireのスタート時、Nergalは宗教の儀式の一つである振り香炉を持ち出しオーディエンスに向かって振り出す。オーディエンスは煙を浴びようと必死に手を伸ばす。

聖体?も分け与えるNergal。

聖体?も分け与えるNergal。

写真は宗教の儀式の一つである、ご聖体(白い円状のパン)をオーディエンスに与えているNergalである。全く知識が無かったので調べた所、キリストが「自分の身体の一部だ」といって弟子に分け与え、最後の晩餐のパンがモデルらしいです。こちらも香炉同様多くのオーディエンスが手を伸ばし、またはクラウドサーフでパンを貰おうとしている男性も居ます。

聖体をばら撒くNergal

聖体をばら撒くNergal

パンを前方のオーディエンスに渡し終えたNergalは最後パンをばら蒔きます。まさに暗黒の教祖と信者達の様な光景でした。香炉や聖体と宗教の儀式をライブに持ち出す等、非常に興味を惹く演出でした。

BehemothのギタリストSeth

BehemothのギタリストSeth

2004年に加入しOrionと同じくアルバムDemigodからBehemothに参加しているSeth。NergalとSethのギターワークは絶妙であり曲Ora Pro Nobis Luciferや曲Amen等の激しい曲からミドルテンポの曲Satanistとプレイスタイルの違う楽曲を見事にプレイ。

OrionとSethもバックヴォーカルとしてバンドを支える

OrionとSethもバックヴォーカルとしてバンドを支える

フロントマンNergalを真ん中にギターSethとベースOrionもバックヴォーカルで熱唱。BehemothはNergalのみのヴォーカルと思われがちだが、SethやOrionも自らの演奏とヴォーカルを兼任している。バンドは曲Ben Sahar、曲In the Absence ov Light、そしてラストトラックO Father O Satan O Sun!を熱唱。最後の曲では三人が一緒にO Father O Satan O Sunを叫ぶ所は会場一緒になって締めくくる形となってThe Satanistは全て演奏された。

鬼プレイのドラマーInferno

鬼プレイのドラマーInferno

BehemothではNergalの次に古参メンバーであるドラマーInferno。残念ながらドラムセットの高さ等もあって綺麗に撮影できたのはこれだけ。左がInfernoであって隣が飛び入りで登場したMyrkurのメンバーだろうか。バンドはアンコールとしてステージに戻りデビュー作And The Forests Dream Eternallyから曲Pure Evil and Hateでバンドの歴史を辿るアンコールを開始。メタル界でも高速のドラミングテクニックで有名なInfernoは鬼神の様な凄まじいドラム演奏を披露。旧作からのAntichristian PhenomenonやConquer All、Slaves Shall Serve等のドラムさばきは正に圧巻。

総評:Behemothヘッドラインツアー

総評:Behemothヘッドラインツアー

Behemothのこの日の最後は1999年に発表されたSatanicaからの曲Chant for Eschaton 2000であった。最高傑作との呼び声も高いThe Satanistの全曲そしてファンから人気の高い旧作からの曲全部で16曲をバンドは披露。オーディエンスは終始モッシュやクラウドサーフを展開しており本当にブラックメタルという所謂世間ではアンダーグランドなジャンルがここまで多くの人を突き動かすのかと良い意味でショックを受けたライブであった。またBehemothとはまた少し違うMyrkurも新人離れした演奏で今後の活躍が期待できるバンドである。Behemothが掲げる反キリストやダークなデビルワーシップ系統の演出(十字架を逆さに持つ等)もオーディエンスに歓迎されており、オーディエンスの大半が白人や南米系の人種、殆どがキリスト宗派の歴史を持つ人々であったが、彼らの反骨精神を助長するBehemothのライブは正にブラックメタルであった。素晴らしいライブをありがとうBehemoth、次作を非常に楽しみに待っています。

出演: Behemoth, Myrkur