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At The GatesのヴォーカルTomas Lindbergが他界。

9/18/2025

At The GatesのヴォーカルTomas Lindbergが他界。

スウェーデン産メロディックデスメタルAt The Gatesの結成メンバーであり、ヴォーカリストTomas Lindbergが腺様嚢胞癌との闘病の末に他界。享年52歳。


Tomasは1988年にデス/ブラックメタルGrotesqueを結成し活動するもデモ音源とEP作Incantation(1990)をリリース後にバンドは解散。同時期にデスメタルInfestationを作るも約半年で解散。しかしこのInfestationで一緒に活動したJonas Björler(Infestationではドラム)、ギタリストAnders Björler、Bjorn Mankner(短期間在籍)、Grotesqueで一緒に活動したAlf Svensson、そしてAdrian Erlandssonと共に1990年にAt The Gatesを結成。1994年にリリースした三作目Terminal Spirit Diseaseで注目され、続くSlaughter of the Soul(1995)で有名になりました。しかし、アルバムが成功したにも関わらず1996年にAt The Gatesは解散。後にTomasは最初の解散について「私達は若く、経験が浅く、外からの圧力にも内なる圧力にも対処する術を知らなかった。二十歳では本当の意味でのコミュニケーションは生まれない」とGuitar World誌のインタビューにて発言しています。TomasはAt The Gates解散後Lock Up、The Crown、Nightrage等様々なバンドにてヴォーカルを担当しました。2007年にAt The Gatesは復活する事を発表し、短期間に再結成ツアーを行ったあとバンドの活動は再び幕を閉じるも、2010年にまたも復活しツアー活動を再開する事を発表。その後はライブ活動だけでなく創作活動も開始し2014年にCentury Media Recordsと契約。バンドは19年振りとなるアルバムAt War With Reality(2014)をリリース。その後は精力的なツアー活動を行いアルバムTo Drink from the Night Itself(2018)、The Nightmare of Being (2021)もリリースしました。一方、Tomasはバンド活動と他の音楽プロジェクト、そして社会科教師としての仕事を両立させていました。2021年のLoudwireでのインタビューにて、Tomasは教師の仕事について、「面白いのは、大抵は他の教師たちが俺をカッコいいと興味を持ってツアー活動等の話を聞きたがるんだけど、俺は'えーっと、いやだな。むしろ優しくてちょっと退屈な教師でいたい' って感じなんだ」と語っています。2022年、2017年に脱退していたAndersがAt The Gatesに復帰し一緒に新作を制作する事を発表。Tomasは2023年12月に癌と診断されたもの、今年8月まで自身の病状をファンに隠していました。At The GatesがTomasの声明と共に以下に発表。


「バンドの近況についてご報告いたします。そのために、約1年半前にさかのぼって説明する必要があります。

Tomasが2025年3月に記したメッセージを以下に掲載しています。彼は過去15か月を振り返り、更新が途絶えていた理由について述べています。

しかし、5月上旬にTomasの健康状態が悪化し入院しています。現在は専門病棟で献身的なケアを受けながら、24時間体制で治療を受けています。困難な時期ではありますが、私達は前向きな姿勢を保っています。しかし、最良のシナリオであっても、回復には長い時間がかかることを認識しています。この間、Tomasと家族のプライバシーを尊重していただくようお願い申し上げます。バンドと音楽が彼にとってどれほど大切か、私達はよく理解しています。Tomasはバンドが制作に取り組んできた新たなAt The Gatesのアルバムを非常に誇りに思っており、この近々リリースされる作品について、より詳細な情報をできるだけ早くお届けできるよう努めます。

皆様の変わらぬご支援、ご寛容、ご理解に心より感謝申し上げます。

At The Gates 2025年8月15日


皆さんこんにちは。最近At The Gatesの動向が静かだった理由を気にかけている方もいらっしゃるかもしれません。

さて、2023年12月に腺様嚢胞癌 (口腔と口蓋のがん)と診断され、それ以来多くのことを経験してきました。本当に大変な一年でした。

まず大きな手術があり、口蓋(こうがい)の大部分を切除しました。その後、2か月間にわたる放射線治療が行われました。それ以来、回復への道のりは長く険しいものとなっています。

そして、2025年初頭に医師達は癌の残存部分を見つけましたが、それは手術や放射線治療では届かない場所にある事が解りました。では、次の段階はどうなるか見ていきますが、おそらく何らかの化学療法を行い、がんを抑制していくことになるでしょう。

幸いなことに、こうした事態が起こる前に、新アルバムのデモ用にボーカルを録音していました。最終的にアルバムに収録されるヴォーカルは、手術の前日にたった1日で、ほとんどワンテイクで録音され、いわばアルバムを確実に完成させる為に、他の楽器よりも先に録音されていました。少し変わった流れでしたが、終わらせておけて良かったと思ってます。この新アルバムのリリースをこれ以上待たないことに決めました。当初は、私が再び歌えるかどうか、またいつ歌えるようになるかを確認し、リリースをライブでサポートできる状態になるまで待つ予定でした。今は将来のこと全てが少し不確かだからこそ、この新アルバムをお届けできる方向で動いている事がとても嬉しいです。これは私達全員が誇りに思っているアルバムであり、Jonasと私がAndersと共にアルバム1枚分の楽曲を制作したのは10年振りのことでした。皆様が楽しんでくださると幸いです!


この件について大げさに扱わないでほしい事、また癌や治療、回復に関するインタビューには応じないことをご理解ください。ただ、長い間沈黙していた理由をファンの皆様に説明したかったため、この事実を公表したかったのです。


皆様がご健勝であることを願っております。どうかご自身と大切な方々、そしてこの地上での時間を大切に過ごしてください。

Tomas Lindberg/Gothenburg/2025年3月」


https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1309871350496422&set=a.233849318098636&type=3&ref=embed_post


バンドとTomasは声明の中で、Tomasが病気との闘いを続ける中で制作を進めてきたアルバムの進捗状況について言及しています。


多くのファンがTomasの回復を願っていたもの9月16日にバンドがTomasの他界を以下に発表。

「Tomas Lindberg 1972-2025。

Tomasは今朝、継続中のがん治療に伴う合併症のため亡くなりました。

懸命な医療努力にもかかわらず、彼の命は救えませんでした。

Tomas – あなたは私達全員にとっての励みでした。思いやりと共感に満ちた、真の友でした。あなたの寛大さと創造的な精神は、いつまでも記憶されるでしょう。

永遠にあなたのことを想います。

永遠に私達の心の中に。」


https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1334729861343904&set=a.233849321431969&type=3&ref=embed_post


そして、Tomasの訃報を受け多くのアーティスト達が追悼。


Adrian Erlandsson

「さようなら、愛しき友よ、

35年前に出会ったあの日、君は私の人生を永遠に変えた。この数年間、君がどれほど懸命に戦い、どれほど勇敢であったか、私は知っている。

At the gates、Skitsystem、The Lurking Fearで共に創り上げた記憶と音楽は、この世界で私が何者であるかを永遠に定義づける一部となるだろう。

君はまさに自然の力そのものだった。そんな瞬間を君と分かち合えたことに、心から感謝している!

安らかに眠れブラザーTompa」

https://www.instagram.com/p/DOrCnjrDBjm/?hl=en


The Crown

「デスメタル界のレジェンドの一人と友情と創造性、そしてステージを共有できたことに感謝します。

Tompaは脆弱な痛みと攻撃性の両方の巨大な感情を宿した象徴的な声で先導した、画期的な歌詞によってメタルをより美しく詩的なものにしました。この芸術への彼の影響は、決して消えることのない巨大な遺産です。

”We are blind to the World within us, Waiting to be born”

”I cast aside my chains - Fall from reality”


”Take care of yourself, your loved ones and the time you have on this earth.(3月の声明:どうかご自身と大切な方々、そしてこの地上での時間を大切に過ごしてください)”

Tompa 2025」

https://www.instagram.com/p/DOqkZ3hDADd/?hl=en


Shane Embury(Lock Upで一緒に活動)

「この投稿写真はMalmoスウェーデンで撮影したものです。1989年、最前列で曲Siege of Powerを演奏しろと叫ぶ若者がいた。こいつは誰だ?と思った。Tomas Lindbergだった。その日、俺達の友情は始まり咲き誇り熟していった。共に素晴らしい音楽を作ったが本当に大切だったのはツアーと演奏の合間に交わした会話だ。様々なことを語り合った。この世界の意味を探りながらユーモアのセンスと他者への共感に溢れ、その奥底には静かな繊細さを感じた。君が本当に恋しいよ相棒。もうすでに… 心が張り裂けそうだ… 

ご家族とバンドメンバーの皆様に心よりお悔やみ申し上げます。安らかに眠れTompa」

https://www.instagram.com/p/DOqv1CHDBDB/?img_index=1


Nightrage

「安らかに眠れ、我らが愛しき友よ。Tomas Lindberg。

君の優しさ、素晴らしい人柄、そして計り知れない才能は、決して忘れられることはない。FUCK CANCER」

https://www.instagram.com/p/DOqlrU3gl0E/?hl=en


Dark Tranquillity

「すごく痛いよ。Tomas、君は僕の道しるべだった。君は真の芸術とは何かを教えてくれた。初めて緊張しながらGrotesqueがリハーサルをしていたHovåsのKristian Whålinsの地下室に足を踏み入れたあの日から、僕はバンドとは何かを耳と目で知った。僕は14歳、君は16歳。君が曲Blood runs from the altarやBathoryの曲Enter the eternal fireを叫びながら歌い上げる姿を、僕はそこで見守っていた。あの日のあの部屋で、僕の人生は根本から変わった。それ以来、君は僕にとっての灯台であり続けた。

Gothenburg周辺の公園で、古いテープレコーダーを通じて新たな知られざるデモテープを発見することから、音楽とは何か、あるべき姿について延々と語り合うことまで。この新しく台頭するジャンルが何かを意味し得るべきであり、意味しなければならないこと、そしてそれが何らかの形で重要でなければならないことについて。

君が私達の小さな街のメタルシーンにとって最も重要な人物だったと言うのは控えめな表現だ。君の寛大さと謙虚な心は周囲の全ての人々に伝染した。シーン内外を問わず、我々が互いにどう接すべきかの基準を示してくれた。この謙虚さと鋭い知性をもって、君は友人や家族、教え子、そして熱心な聴衆に時間を割き、注意を払い、インスピレーションを与えてくれた。君の誠実さ、情熱、献身がこれからも我々全員を鼓舞し続けられますように。

愛してるよTompa。いつまでも。

Mikael Stanne」

https://www.instagram.com/p/DOtZ65ajK1x/?hl=en


Michael Amott(Arch Enemy)

「安らかに眠れTompa。

初めて会ったのは彼が15歳、私が18歳の時。ただ二人、アンダーグラウンド音楽に没頭する子供だった。人生は私達を別々の方向へ導いたが、時折偶然再会することもあった。2019年に共にツアーを回ったことで本格的に再会できたことは本当に特別なことだった。今日、スウェーデン・デスメタルシーンの真のベテランの一人を失った。最初はGROTESQUEで、そしてもちろん後に伝説的バンドAT THE GATESで活動した彼だ。安らかに旅立ってくださいTompa、LG(Lars-Göran Petrov:Entombed)と一緒にビールを飲みながら、今はゆっくり休んでください。」

https://www.instagram.com/p/DOqSSYKgtA1/?img_index=1


Anders Fridén (In Flames)

「今朝、Tompaが亡くなったという悲しい知らせで目が覚めた。

何か気の利いたことを書こうとしている (それが私の仕事なのだから)が、まったく言葉が出てこない。あまりにも身近な出来事だからだ。

最後のツアーを共にでき、Gothenburgで最後の公演ができたことを心から嬉しく思う。

ところで、その昔僕がバスで街へ向かう途中、君のウォークマンでテープを共有してくれたこと、本当にありがとう。君が道を示してくれなければ、今の私はなかったかもしれない。

また会う日まで。」

https://www.instagram.com/p/DOrDdWFjRlO/?hl=en


Soilwork 

「安らかに眠れTomas。君はあらゆる面で真のインスピレーションだった。メタルシーンは最も真摯なレジェンドと声の一つを失った」

https://www.instagram.com/p/DOsiVPMDQqC/?hl=en


John Henry (Darkest Hour)

「Tomasと初めて出会ったのは2002年のことだ。彼はThe Crownのボーカルを務めており、私達は彼等のアメリカツアーのサポートを務めていた。最初はファンとしての感情を抑えるのが大変だった。彼は私が最も愛するメタルバンドのヴォーカルであり、音楽的に多大な影響を与えてくれた人物だったからだ。しかし彼はそれを容易にしてくれた。すぐに彼も私達と同じ、人生を謳歌したいメタルバンドのパンク野郎だと分かった。彼はよく私達のバンに飛び乗り、クレイジーな寄り道に付き合ってくれた。彼はあっという間に、憧れの存在から、同じバンド仲間へ、そして友人へと変わった。それは私にとってこの上ない喜びだった。ツアー終了後まもなく、彼は私達にスウェーデンへ渡り、1ヶ月間滞在してアルバムをレコーディングする機会をセッティングし、私達のGothenburgへの夢を現実のものにしてくれた。それは夢が現実になった瞬間だった。2008年にATGが再結成し、サポートを依頼された時はまたしても最高の瞬間であり、そのツアーは私の音楽キャリアと人生において最も特別な瞬間の一つとなった。Tomas、いつも私達を信じてくれてありがとう。音楽への貢献に感謝し、長年の友情に感謝する。君は深く惜しまれ、その遺産は永遠に生き続けるだろう。」

https://www.instagram.com/p/DOqkui7DAg1/?hl=en&img_index=1


Mike Schleibaum (Darkest Hour)

「Tomas Lindberg。伝説の中の伝説に、安らかに眠れ。


Tomasと彼のバンドAt The Gatesは私達にとって最も大きな音楽的影響源の一つであった。彼の音楽を初めて聴いた瞬間を、私は永遠に忘れない。それは今もDarkest Hourとして燃え続ける炎に火をつけた。彼は我々にとって最も重要な音楽的影響源であるだけでなく、誠実で愛情深く、献身的な友人でもあった。


Darkest HourのアルバムHidden Hands of A Sadist Nationの制作は、彼に直接負うところが大きい。スウェーデンでのレコーディングを勧めてくれたのも、Studio Fredmenの直通番号を教えてくれたのも彼だった。スウェーデンの誰も我々を真剣に受け止めず、折り返しの電話すらなかった時、スタジオに予約を入れ、真剣に向き合うよう彼らに働きかけたのも彼だった。


またTomasは、このアルバムにゲスト参加するGothenburgの精鋭たちを多数集め、我々のバンドを広く認知させ、ついにメタル界全体に我々を真剣に受け止めてもらうきっかけを作った人物でもある。


彼が私達全員を自宅に泊めてくれ、床で寝かせてくれたのは、私達がGothenburgで立ち往生した時だった。その後も何度も私達を招き入れ、常に面倒を見てくれ、私達の馬鹿げたファン心理にも尽きることのない忍耐を見せてくれた。


彼が「GO」(曲Slaughter Of The Soulの最初の掛け声)という文字を何度も何度も練習して書く姿は決して忘れない。私達は彼にそれを体に描いてもらい、タトゥーにしようとしていたのだ。彼はそれを本当に真剣に受け止めていた。彼は私を呼び止めて言った。「マイク、本当にこのタトゥーでいいのか?」あのタトゥーほど誇りに思ったものはない。そしてロックの神々が、この真のレジェンドとの出会いを与えてくれたことに、これほど感謝したことはない。Tomasは永遠に私達のアイドルだ。彼の音楽は、その優しさの記憶と共に、永遠に私達と共に在り続ける。」

https://www.instagram.com/p/DOqjS1RDlt1/?hl=en&img_index=1


Cemetery Skylineのライブにて、Tomasの訃報にDark TranquillityやThe Halo Effectで活躍するMikael Stanneやメンバー達が涙し、Tomasを追悼し約一分間の黙とうを捧げました: https://youtube.com/shorts/Y1UFgTahjwA?si=NgOTVFonyG16BAEr


TriviumのMatt Heafyは投稿映像にて、自身が若い頃Napsterにて紹介されたAt The Gatesの曲The Swarmを初めて聴いて衝撃を受けた事を語っており、Tomasの凶暴なスクリームヴォーカルが印象的だったとし、90年代後半から2000年前半に人気になったメタルコアシーンはAt The Gatesからの影響無くしては語れないと説明。

https://youtu.be/7-EvZ_fQXXs?si=b4iMGZp11_oqm6KG


ドキュメンタリー映画Metal: A Headbanger's Journey(2005)やGlobal Metal(2008)等を制作し制作会社Banger Filmのオーナーの一人Sam Dunnは2010年のMetal Evolutionの制作時にTomasがインタビューに応じてくれ、自身と撮影クルーを自宅に招いてくれた事を説明。その時撮影した未公開の全インタビュー映像を追悼として公開。


映像にてTomasはSlaughter Of The Soulは制作当初から他のバンドの作品とは一線を画す特別な作品にしようと決めて制作していた事を説明。また、プロデューサーFredrik Nordströmは完璧主義な所があり、何度もリテイクを要求され大変だったが良い作品なった事にとても満足している事を説明。


こちらMetal Evolutionのインタビュー映像は5:15頃から: https://youtu.be/13HQcClnhsQ?si=AssmSeIpR6iUTVYO


At The GatesとTomasが最後にライブ活動を行ったのは2023年後半まででした。


こちらAt The GatesとTomasの最後のライブとなったデンマークAalborg Metalフェスでのライブ写真

https://devilution.dk/artikler/reportager/amf23-lordag


こちらAt The Gatesが活動を休止する数ヶ月前に出演したMennecy Metalフェスでのバンドのライブ映像

https://youtu.be/-onw7uL6TAU?si=DEIFhkR3RAuABonN


多くの方々と同じように管理人もエクストリームメタルを知る切っ掛けとなった作品の一枚にアルバムSlaughter of the Soulがあり、Tomasのヴォーカルが本当に大好きでした。


RIP

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