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バンド、アーティストもステージを降りれば喜怒哀楽のある普通の人、ここではそんな生のアーティストの顔を紹介していくコーナー。
バンド達の違った一面を音楽と一緒に読んで楽しんでください。不定期に掲載していきます。
第2回:As I Lay Dying、Tim Lambesis Confession
2013年5月7日、突然報道されたメタルコアAs I Lay DyingのフロントマンTim Lambesisの逮捕ニュース。彼の逮捕は全くの予想外であり、自身の奥さんを殺し屋を雇って殺そうとした殺人教唆の容疑についてもまるで映画やテレビドラマの様な展開に多くの人達が真実性を疑いました。
当時バンドは最新作Awakened(2012)をプロモートしているツアーを終えて一時帰国している時であった。6作目となってもビルボードチャートの上位に食い込む程の安定した人気を保っており、若手メタルコアバンドが台等する現代メタル界においてベテランメタルコアバンドとして多くの若手から一目置かれている存在でした。バンドの歴史も輝かしくGrammyアワードのベストメタルバンド賞の候補、地元のミュージックアワードでは4度のベストバンド賞を受賞、ハリウッド映画祭でも彼等の曲The Sound Of Truthのプロモビデオ(http://youtu.be/XJzTlJ8hs4I)が最優秀賞を受賞するなどインディーメタルレーベルに所属するバンド以上の活躍を世界規模で行っていたバンドでした。
しかし、逮捕後に次々と明らかになる事件の詳細、そして今年に入りTimが自ら罪を認めた事により多くのファンが衝撃を受けました。そして先週、南カリフォルニアSan Diegoでの法廷でTimの保護観察無しの懲役6年の有罪判決が下りました。
今回Alternative Press誌にて、法廷での判決を待つTimとの対談インタビューが掲載されました。インタビューを行った時、Timは2ミリオンドルの保釈金を払って彼の自宅で謹慎生活を送っておりインタビュー内容は判決が出るまでは公開しないという条件にて行われたそうです。Timによると既に多くの映画監督、テレビプロデューサー等からオファーがひっきり無しに届いている状態であったそうですがTim自身は今回の話は公に公開しないと説明。今回刑期が始まる彼の最新インタビューの内容をまとめて掲載します、Tim側のストーリーと捉えて読んで頂ければ幸いです。
Alternative Press誌:まず貴方の家庭について聞きます。貴方は2009年そして2011年ににエチオピアから養子を授かりました。当時奥さんのMegganさんとの家庭はどうだったのでしょう?
Tim:あの時の家庭環境はとてもよかったよ。ツアーにはBiruk(初めての養子の男の子)も良く連れて行った。Birukは旅行が好きな子だった。多くの赤ちゃんは飛行機の中で泣き喚いたりするけどあの子はいつも静かに寝たり遊んだりしていた。手の掛からない子で僕はバンド生活をフルに取り組む事が出来、プライベートではBirukとのツアー生活を満喫していた。そして2011年にもう二人の娘を養子として授かった。ツアーバスには汗臭い男達が10人も乗っているから子供達と一緒にツアーする事は難しくなったけど僕は精一杯父親として
子供達との時間を大切にしていた。例えばツアーで一ヶ月出ていたら家には一ヶ月居るとかね。二つのツアーが連続であったら長期の休暇を取るとかしていた。自分は他のツアーアーティストよりも多くの時間を家族の為に使っていたと思うよ。休みの日は一日中子供達と一緒だったし、子供の幼稚園に行って一緒にお昼ご飯を園内でピクニックみたいにして食べたりしてね。あの当時は問題なく園内に入れたんだ、今はもう無理だけどね。
Megganは専業主婦として三人の子供の面倒を見ていた。彼女はお母さんとして僕がツアーで居ない分100%の愛情で子供達を育ててきたんだ。特に子供達は養子で愛に恵まれなかった環境で育ってきた子達だったからなおさら彼女は真剣に子供達と向き合って愛情を注いできたんだろう。だから、時が経つに連れて僕が家に居る時に父親として何かしようとすると彼女は「そこは私のパートだから」と僕にはさせてくれなかった、そこが難しかったかな。
では親としての本業はできていたと?
そうだね、僕は自分だけが爪弾きにされたとは思っていない。そして色んな人が様々な意見があると思うけど、僕は段々とMegganと僕が別々に子供達の面倒を見ていた方が子供にとっても良いのではないかと考えるようになったんだ。でも別居しても、結婚していた時と同じような意見の衝突が絶えなかった。
Megganさんの離婚届けには貴方は子供達と居る時でも始終携帯メールを打っていたとありましたが?
それは離婚届けでは普通にある色んな言い訳の一つさ。でも僕にも非がある事は認めるよ。ツアーが休みで家に居る時、僕はMegganが全然嬉しくないと思うようになったんだ。そしてバンドの一員として今後のバンド活動にはちゃんとした体で望むべきと自分の体に対して筋肉を求めるようになった。これらは本当に間違った思い込みであって、僕の非で僕らの関係がより悪化した事は認めるよ。次第に彼女はバンド関係(注:TimはAILD以外にも他のバンドやプロデューサー業をやっていた)や筋トレに時間を使う僕に対して嫌味を言うようになった。僕が仕事としてバンド活動でツアーに出て行ても憤慨するようになり、家に居ても小言を言われて外に出る事が多くなりより一層バンドや筋トレに打ち込むようになった。
何時からステロイド剤を使うようになったのですか?
あれは本当に馬鹿げた行いだったよ。筋トレをしていても体がこれ以上大きくならない壁にぶち当たった時があった。そこで皆もやっているから僕も少しやってみようといった軽い感じで始めたのが切っ掛けだったんだ。ステロイドの副作用によって感情の制御が利かない場面があり誤った選択をしてしまった。
ジムに通う事でステロイドの知識を得ていったのですか?
僕はジムには週5-6回は行っていてよくトレーニングしていた。ジムに通っている人なら誰もがこの人は良くトレーニングしているという面識があるんだ。ステロイドの売人を探さなくても彼等が近寄ってくるんだ。何人かが僕に「君がこの次のレベルを目指している事は分かっているよ」とアプローチして来るんだ。彼等は「やあステロイドはいかがかな?」とはこない。ある日、1人の売人が僕にアプローチを掛けて来た、それに対して僕はトレーニングのローテーションを変えて新しい運動を始めてみると言うと、彼は「確かにそのやり方なら長い時間を掛けて少しの結果が出るだろう。しかし君の求めている体は手に入らない」と言ってそれから売人のセールストークになった。それから様々なステロイドの知識を聞かされた僕は大きな衝撃を受けたんだ。ステロイドをやっていないと思って見ていた人達は全員ステロイドをやっている事を知った。目標だった彼等が実はステロイドを使って大きな体になっていた事実を知ると僕の中でステロイドに対する罪悪感が無くなって行ったんだ。
ジムに行っていない人には貴方の見解は分かり難いのでは?
言っている事はわかる、でもどんな人でもこれがノーマルサイズというのがあるはずなんだ。例えば買い物に行って雑誌を見つけ、そこの表紙に写っている水着モデルを見てこれが今のノーマルサイズなんだと思う人もいるだろう。そして同時にこの水着モデルと同じ様にになりたいと思う人だっている。そうする事によって新しい目標やレベルアップしなくてはと頑張る人がいる、切っ掛けは何だって良いんだ。そしてステロイドを使っている人達は狂った人では無かった、誰も僕が犯したような犯罪に手を染めている人は居なかった。僕は弱い人間
だ。体を鍛えれば人生が上手く行くだろうと考えていた。空っぽだった。でもこの様な結果になり僕は今回の件で本当に自分の愚かさを思い知らされた。これで良かったんだと思う。
Megganさんの離婚届けには貴方がボディビルディングにはまり、家族を省みなくなり子供がプールで遊んでいても寝ていたり。貴方はフロリダに別の彼女が居たり、貴方がタトゥや新しい車を買うなど出費が激しい事が記載されていました。これについてはどう思っていますか?
人が裁判に勝つ為に記載したものなんだ、これを書いたのは彼女であって僕ではない。しかしそのリストで当たっているものはあるが間違った見解のもある。例えばタトゥについて、これは顔が知られているアーティストなら良くある事だけど、タトゥを彫る代金は払わない事が多いんだ。逆に彫り士からタトゥを彫らせてくれないかと持ちかけてくるからね。僕らは彼等に感謝の気持ちでチップを上げるけどそれぐらいだよ。車についても新しい高級車なんかではなく、安価で子供にも安全な車を車屋で購入したぐらいだよ。多くの時間をジムでトレーニングしていた事については非を認めるよ。確かにジムに行っている時間があったなら子供達と遊んであげれば良かったと後悔している。これでもちゃんと子供との時間は作っていた、しかしもっと家族の為の時間があったのに作れていなかった。
ある程度の人はAs I Lay Dyingならこの先長く順調に活動できると思っていたみたいですが金銭的な事でMegganさんと揉めたりはしたんですか?
僕はバンドをやり、家族の大黒柱となって支えていくという信念のもと頑張ってきた。だからバンドでお金が入らなくなったり、問題が起きた時は対処出来る様に財産は貯蓄していた。家を購入する時も50万ドルを使って家を購入すれば家族との時間もとれるぐらいのバンド活動で難なく生活できるとプランを立てていた。しかし、Megganに50万の家を探して欲しいと頼んだら彼女は75万の物件を購入しようとしていた。僕の計算では75万の物件でも購入は可能だったが、僕には一層バンド活動を頑張らなければ安心して生活出来るボーダーラインをオーバーしていたんだ。僕は彼女に「家にもっと居て欲しいのでは無かったのか」と問うと「75万の家が欲しいから貴方がバンドを頑張ってよ」と返してきた。家を購入する段階で僕には彼女との温度差の違いがある事がわかり、結婚した時の僕らとははそれぞれ違うページに居ることを痛感した。
どういう段階で奥さんに殺意を覚えていったのですか?
別居した後、僕は自分の子供達に週二回しか会えなかった。そして毎回子供達と一緒に居る時間、彼女も遠くからこちらの様子を常に監視していたんだ。
貴方はMegganさんとは別の女性と恋に落ちていたのでは?
それは違う。確かに別居した時は違う女性が居た。しかし、恋や新しい愛があったわけではないんだ。でも、その女性の事を隠すことはしなかった。おおっぴらにデートしていただけだよ。
他のバンドメンバーとの関係はどうだったのでしょう?
皆僕のプレイベートで何が起こっているのかは理解していたんだと思う。でも誰も僕に対して注意してくる訳でもなかった。でも正直言って欲しかった部分もある「よお、こんな人生で良いのかよ?」ってね。彼等にしてみれば言い難いかもしれないけど「君は浮気している、結婚生活も終わりだ、そしてステロイドもやっている」と言って注意して欲しかった自分がいるのかな。彼等は僕の結婚生活が上手く行って無い事やステロイドをやっている事も知っていただろう。
奥さんとの別れを告げたのがメールだったというのは本当ですか?
本当だよ。あの別れのメールを送った日、僕はツアー中でバスから彼女と電話で話をしていたんだ。彼女は僕との会話から何か別れの雰囲気を感じとったのだろう。僕が「後3日で帰るから、家でゆっくり話しをしよう」と言って電話を切るつもりだった。しかし彼女は「私はあなたが何を話すのか分かるまで一睡もできない。今すぐ言って」と強引だった。彼女には子供の面倒を見るお母さんとしての仕事もあったし彼女には寝てほしかったのもあってあの場で彼女に別れを促すメールを送ったんだ。
貴方達はどうやって別居や離婚について子供達と話し合ったのですか?
僕らは家族全員で話し合った。僕ら二人は離れ離れになるがどちらも同じくらい子供達を愛している事、そして何時でも子供達の質問には答えると言って話した。でも別居後、週に何回か子供達と会いに行く生活を続ける内に子供達に変化が表れた。彼等は僕の事をDadと呼んでいたが、時が経つに連れて僕は家族の一員でない、よその叔父さんと見られていると思うようになった。Megganは子供の親権を100%欲しがっていた。子供達を次第に独占し、子供達に僕の事を父親ではないと教育しているように思えたんだ。
ある日、子供達におやつを作っていた時、僕は何気なしに子供達に食事前にはお祈りするのかを聞いたんだ。昔は僕も一緒にやっていたからね。そしたら子供達は「私達はお母さんとだけお祈りするの」と言ってきた。子供達の変化に気づいた僕は「お母さんとどんなお祈りしているの?」と聞くと子供達は「お母さんとはお父さんの所に行かなくてもよくなれ」ってお祈りしていると話すんだ。この時、僕は子供達を肉体だけでなく精神までもを取られた風に思った。そして極めつけはMegganは子供達に僕の両親とも会う事を禁じた事だった。今までは普通に僕の両親の所に遊びに行っていたのに突然「おばあちゃんとは一緒にいられない」と子供達に言われたんだ。僕の両親も深く傷ついた。
では両親までも影響受けた事に貴方は憤慨したと?
確かに子供達を両親にも会わせないMegganのやり方に憤慨した、僕は肉体的に子供達を奪われそして今度は精神的にも奪われた感じがしたんだ。早速弁護士の方に裁判で何とか自分の主張を認めてもらいたいと抗議したよ。でも弁護士は裁判にはまだ3ヶ月あるからそれまで待てと言ってきた。でも僕は...待てなかったんだろうな..
貴方は数ヶ月も待てなかったのですか?
そうだね、僕は決してブチ切れるタイプではないんだ、ただとても辛かった。そしてジムでよくステロイドを購入していた売人と会った、僕は「よあ元気かい?」と声をかけたら彼から「ああ良いよ。ただ君が俺に誰かを殺してくれと頼むんだったら別だぜ」とイキナリきたんだ。僕は「おいおい何言ってるんだよ」とびっくりした。すると彼は「君が奥さんと揉めているのは知っているよ。もし君が何か入り用だったら俺が紹介してあげてもいいよ。」と言ってきた。僕には他に選択する余地も無かったし正常な思考が出来なかったのかもしれない。兎に角、あの場はそういう話もありかな、という感じで彼とは別れた。後日、アジアツアーに行く直前に彼から電話があり「君の頼みを聞いてくれそうな奴が見つかったぜ」と電話があったんだ。
貴方が言っている売人はBrett Kimballという人ですね。法廷にて、彼は証言台で貴方が彼に「殺し屋を知っているか?」と持ちかけて来たと言ってましたが?
彼は売人という事やっているだけでなく数件の軽犯罪者なんだ。彼の証言には真実味が全くなかった。そして彼の犯罪歴を僕の弁護士から指摘されかけると検事側が彼を引っ込めてしまった。彼は僕への証言だけに来て自分の犯罪歴について語る事は無かった。実際、彼は数人のステロイド売人から金を借りていて追われる立場だったし、ギャングからも追われていたみたいだった。彼はあの裁判後身を隠す為に町を出たよ。だから彼の証言はあまり重要視されていなかった。
貴方はBrettがそういう人だという事を知りながら彼の殺し屋の話を信じたのですか?それでBrett自身が警察に連絡して貴方はおとり捜査に引っかかって逮捕された訳ですよね?
僕は彼がどんな厄介ごとに巻き込まれてもそれを掻い潜って回避してきた話を聞いて来た。ステロイドの売人は殺人者で無い事は知っていたが彼の周りには常に危険な感じがあった。だから彼が殺し屋の話をしても結構普通に聞き入れてしまったんだ。
では、おとり捜査の警官が殺し屋REDと名乗って貴方にコンタクトしてきた時の事を話してもらいましょう。
アジアツアーから帰って直ぐにREDから電話があり用件は実際会ってでないと話せないと言われ彼から写真、住所、そして調査費として1000ドルを持ってこいと言われた。そして彼と市内にある大型ブックストアで会う事になった。
裁判では貴方はREDにMegganさんの家のセキュリティコードや子供達が何時自分と会うか等のアリバイ工作的なスケジュールも書いていたそうでがREDがこれも指定したのですか?
いや、あれは僕が書いたんだ。彼と会う直前にこの得体の知れない殺し屋がMegganの家に行くと子供達も居るかもしれないと思い子供達が巻き込まれない様にした。そしてこの殺し屋がどうやってセキュリティを抜けるのか分からなかったし、フェンスを無理に越えて捕まったりしたら嫌だったのでコードを書いたんだ。
そして貴方は実際にRED(おとり捜査官)と会ったのですね?
ああ、本屋で人気の無い本棚の間で彼と話をしたんだ。彼は単刀直入に「何を俺にしてほしいんだ?」と聞いて来た。僕は「彼女に居なくなって欲しいんだ」と答えた。彼は調査費の話をしてから又「俺は君のあいまいな頼みで誰かをぶん殴ることは出来ない、もっと詳細に話してくれ」と言ってきた。僕はどうしても彼女を「殺す」とか「死んでくれ」とは言えなかった、だから「彼女には消えて欲しいんだ」と言った。彼はまた「俺にいったい何をして欲しいんだ」と聞いて来た。僕はこの人は馬鹿なのかと思っていた。実際には僕の方が馬鹿だったんだけどね、もう十分に伝えたろうと思っていたんだ。そしたらまた「もう一度最後に聞く、君は奥さんに死んで欲しいんだな」と聞いて来た。僕はあきれ返って頷いてその場を離れた、でも彼の方に向き直って「君の言うとおり僕は彼女に死んで欲しいんだ」と言った。僕はこのREDにちゃんと伝わるように念をおしたつもりだった、でもあの場で一番馬鹿だったのは僕だった。
捜査官は僕の言葉を忍ばせていたレコーダーに録音し、「持って来たものは?」と聞いて来た。僕は車の中にあると言い彼と一緒に取りに行った。彼に持って来た封筒を渡して僕は車に乗り込んだ。駐車スペースから動き出して方向を転換したら僕の頭に拳銃をポイントした警察官が居た。それから僕は車から出されてコンクリートに伏せた形で逮捕された。それからは続々とパトカーがパーキングに入ってきて野次馬が居て凄い騒ぎになった。10-15人の警察官が僕を取り囲む形で逮捕し警察に連れて行かれたんだ。
逮捕前、最後に貴方がMegganさんと会ったのは何時ですか?
僕達が別居して数週間は子供達の質問に答える為に僕らは一緒に子供達の世話をしていた。あの後から彼女と会う事も電話で話す事も無かった。彼女とは常にメールの遣り取りでの連絡だった。僕らは本当にコミュニケーションが成っていなかった。彼女とは何時もすれ違いの連続でストレスを貯める場面が何度もあった。
ある日の朝、僕は子供達を彼女の運転するミニバンに乗せて行ってらっしゃいと送り出した。彼女は当時俺には話しかけてくれなかったから、そのまま運転をスタートして出たんだ。すると子供達の乗っているドアが開けっ放しなのが見えて僕は慌てて走って車を追いかけた。「おい、ちょっと待て」ってね。そしたら後日、彼女は朝の件で憤慨し、僕の両親と彼女の両親にメールを送り「今朝、子供達を送ろうとして出たらTimが怒って走って追いかけてきた。Timは危ない」みたいに書いていた。僕はただ車のドアが空いていたので注意で走って追いかけたのに彼女には僕が怒って子供を取り返そうと追いかけて来たと思ったらしい。
では貴方が最後に子供達と会ったのは何時ですか?
アジアツアーに出る前に会った。今では子供達には近づいてはならないという禁止命令が出ている、自分の犯した罪は理解しているから受け入れるつもりだ。子供達には僕の犯した犯罪を知った子もいるし、そう遠くない未来で知る子も居るだろう。おそらく今度の判決で刑務所に行くと僕は二度と子供達と会えないと思うんだ。もし会えたとしてももう親子の関係は無くなっているだろう。多分僕のいない人生の方があの子達にとっても良い事なのだと思う。
Megganさんは貴方に対して2ミリオンドルの請求をしていますが?
僕は2ミリオンも持っていないし、貯金等のお金のコントロールを持っていない。賠償額は僕の持っている部分のお金で決められるだろう。
私は貴方の事をもっと計画性のあるちゃんと物事を考えられる男だと思っていました。何故今回の様な馬鹿げた行動を取ったのですか?貴方はこの犯罪が成功してその後逃げ切れると思ったのですか?プランはあったのですか?
僕はREDとの面会で1000ドルの調査費を彼に渡した。あの時点ではどうなるか分からなかった。ただ、1000ドルの調査費で何が起こるのか見てみたかっただけなんだ。
私には懲役が最高9年というのが短い気もするのですが。
そこが面白い所で僕の弁護士によると今回僕は罠に掛けられて逮捕された、だから殺人教唆の罪になった。もしこれがおとり捜査も無しで捕まったら殺人共謀罪となり懲役最高20年だったんだ。
貴方が逮捕された後、ニュースでMegganさんと貴方のお父さんが貴方の実家で口論になったと報じられましたが。
あれは全くの嘘だ。多分僕の両親は僕の弁護士を誰にするかで喧嘩したのだろう。それを隣人が聴いてMegganだったと偽りの報道をしたんだ。Megganと両親は会ってない。
As I Lay Dyingのメンバーは貴方が保釈で出た後会いに来たのですか?
Jordan(dr)は来たな。俺と彼とで今後どうするのかを話し合ったが30分も居なかった。それから彼は二度と来なかった。JordanとNick(g)も一度電話に出てくれたが本当に少し喋った程度だった。皆は既に話をつけていたみたいで僕とは話をするなと決めていたみたいだ。それから僕は彼等宛てに詫びのメールを書いて送ったが誰一人返信してくれなかった。そして後日また彼等に二度目のメールを送り「僕を許してくれなんて思っていない、でもバンドについて話したいだけなんだ」とね。そしたらNickとJordanから返信が来て僕からのメールは受けたが今は時間が必要な時で整理がついていないだけと説明された。僕からの最後のメールは「僕はただ友人の君達を思ってメールしたんだ」といったメールだったね。返信は無かった。
あの時、自宅で謹慎生活をしていた僕に必要だったのは友人達だった。3件のメールは長い期間で送ったものだよ。最後のメールは逮捕されてから9ヶ月程経ってからだ。考えてみると僕は彼等に対して酷い事をしてしまったんだろうと思う。6ヶ月間の間にメールを3件も送った事については非常識だったと反省している。もっと彼等に時間を与えてあげるべきだった。彼等とは同じバンドのビジネスパートナーであり、彼等は僕の私生活に足を踏み込むような事はしなかった。僕はそれでも良かった。でもこれまで一緒にやってきた仲間が一斉に
後ろを向いて僕を無視した事については悲しく思う。
もしメンバーが貴方にちゃんとした話す機会を与えていたらバンドはもっと違った方向に行っていたと思いますか?
多分彼等との関係も違っていたものになっていたと思うよ。でも彼等は僕との関係をビジネスだけとして一方的に切ったんだ。彼等が僕に対してそういう態度なら、僕らは一緒ににバンドをやるべきでは無いと思う。彼等は既に新しいバンドを始めているしね。ただ、いつかAs I Lay Dyingをどうしていくかについては考えなくてはいけない。
As I Lay Dyingのサイトに貴方が勝手にバンドの今後についてポストした事についてはどう思っているのですか?
他のメンバーが僕に対して決めた行動は理解できる、でもだからと言って僕は椅子に座って待つわけには行かなかった。バンドのオーナーは僕とJordanのものだ。昔から僕ら二人でバンドの方針について決めていた事もありそれはこれからも変わらない。オーナーでないメンバーは自然的にAs I Lay Dyingから解雇された事はあのポストの一週間前には知っていたはずだ。この決断は仕返しとか個人的な物でもない。これから新しいAILDの活動は無い、それはあの三人の生活には何も影響はないはずだ。AILDからのお金は入ってもこないし、減りもしない。
バンドはコミュニケーションを辞めたんだ、だから一番簡単なセッティングに直した。あの三人はこの決断に対しては何も言えないはずだよ。
多分彼等は貴方が彼等の新しいバンドWovenwarについても公表した事について憤慨しているんだと思いますが。彼等は貴方が公表する事を事前に知らなかったのですね。
確かに彼等にはサイトで発表する事は言ってなかった。でも彼等(Nick, Josh, Phil)はAs I Lay Dyingでは無い事を知っていたはずだ。新バンドについては色んな憶測が流れていたからそれをハッキリさせる為に説明したんだ。
Wovenwar-曲One Year http://www.youtube.com/watch?v=tShtyhsu6vU&feature=share&list=UU-_uMJWvLL9IdQwpeiniEGg&index=1
多くの人はJosh(b, clean vocal)が新しいバンドのフロントマンになると思っていた様ですね。
そうだね、彼等が最初に流した映像では確かにJoshが唄っていて、As I Lay Dyingの未発表曲が使用されていた。あの曲はBサイドであってお蔵入りにしたはずなんだ。でも彼等は勝手にそのBサイド曲を新しいバンドのプロモーションに使用した。変な憶測が流れる前に僕としてもハッキリさせたかったんだ。
そして貴方自身も新しい曲を書いていますね。
この曲はMetal Bladeレコードがこれからどうするかによって変わってくる。この曲をAs I Lay Dying名義で出すのは非常識だし、多分それは無いだろう。今はそれを決めている時ではないしレコード会社に所有権がまだあるんだ。この曲は僕の友人、家族、そして自分自身の為に書いた曲だよ。Austrian Death Machineの最新作のセールスが前作よりも良かったらしくMetal Bladeレコードはアルバムの権利を他のインディーレーベルであるArteryレコード会社に移したんだ。作曲に関しては僕自身のセラピーだと思っている、だからレコード会社のマーケティングにされるなら僕は無償公開するつもりだよ。
どんな新曲なんですか?
僕はあまりスキルを持たないヴォーカリストなんだ。叫んでスクリームするだけ。だから僕の作る音楽はヴォーカルにフィットするアグレッシブなメタルになってくる。そして僕の作る曲は自然とAs I Lay Dyingに似てくるかな。AILDの最初の三作は僕の作曲部分が大きいんだ、PhilやNickもギターリフを開発してくれたが僕も長い事作曲をやっている。AILDの最新作AwakenedだけはJosh(b)が殆ど書いたな。
これから判決、そして刑務所での生活が待っていますが準備は出来ていますか?
僕は長いツアー生活というのを経験している、でも今回は長期間のツアーではない。もし刑期が分かっていればこの年月頑張って更正してそれからはマシな人生を送ろう、と頑張れる自分が居るんだ。でも今回の刑期がどれぐらいになるのか分からない今では想像がつかないし、これからどうしていこうか不安だよ。でも人生経験にはなるだろう。世間、そして僕の別れた奥さんと家族にはこの判決で少量の満足が得られるかもしれない。
汗臭い男達に囲まれての生活はツアーみたいですね。
そうだね。君が僕のバンドメンバーについて話してくれたが、もし彼等がもう少しサポート的で相談に乗ってくれていたら僕は今回の悲劇を回避できていたのかもしれない。離婚してもそれなりの幸せがあったのかもしれない。彼等とは喧嘩はしたくは無い、そして彼等には彼等の理由があって僕から離れていったんだ。もしかしたら何時か彼等から僕に対してのメッセージがあるかもしれない、このインタビューを見たメンバーの誰かは僕の事を嫌いになるかもしれない。ただ、この時点で彼等が何の感情も(怒り、悲しみ等)出してこないし発表しないのがちょっと変かな。(実際この記事を観たNickが始めて自身の胸の内を公表しました。Newsにて観れます。)
このインタビューがもしかしたら貴方からMegganさんの家族へ言葉を送れる最後の機会かもしれません。何か言う事はありますか?
今はとても自分の思いを整理する事は難しい。彼女と家族には今自分は大きな自責の念に駆られている事、そしてどんなに誤っても彼等の心の傷は癒えない事、どういえば良いのか分からないな。でも単純に「すいませんでした」では済まされる事ではないと思っている。
彼等は受け取らないかもしれないが、僕はこの13年間のキャリアで貯めたお金を彼等にあげた。彼女の家族のメンバーと一度だけ面会を許された時があって僕は「これまでの僕の人生を投げ打ち、そしてそれによって誰かの助けになるのなら喜んで投げ出します」と説明したよ。僕と彼女が別居した時、僕らの両親も会って話しをしたそうだ。彼女の両親は僕の両親に「Timには何か強烈な経験によって心を入れ替えて欲しい。そして自分達が愛した昔のTimに戻って欲しい」と言ったそうだよ。僕はベストを尽くしてどんな罰でも受け、そして変わっていけるようにしたい。時が経てば僕らの家族も少しは癒されるかもしれない、僕は自分自身で変えていかなくてはならない。
刑期が長くなっても一向に構わない。むしろありがたいと思って受け入れるよ。僕はどんな刑期でも耐えてみせる、僕にとっての真の罰はもう二度と子供達に会う事ができない事だ。これは僕にとって一番過酷な罰でありとても悲しい。今でも思い出すのは息子との思い出ばかりなんだ。どんなに長い刑期を全うしても僕は息子とは会う事が出来ないかもしれない、本当に辛いよ。
END
Timはこれから刑期に入る訳ですが、何とも悲しい結末です。TimとのインタビューではAs I Lay DyingはTimとJordanを残して全員が解雇。バンドのWikiページにもメンバーは二人となってますね。メンバーは7-10年と一緒にプレイし生活してきた仲間でありAILDはツアーバンドとして年間多くのツアーをこなすバンドとしても有名でした。
Timの結婚生活の綻びが彼とバンドにここまで影響してしまうとは誰が考えたでしょう。しかし、結局この事件はTimの独断で行われたものでありメンバー達も事件の被害者です。彼等はOh, SleeperのShaneと一緒にWovenwarを始動し今年新譜を発売予定です。
最近彼等のDVD作品This Is Who We Areを見直しました。映像は彼等が金字塔アルバムAn Ocean Between Usを発売した後に制作されたもので、この時のバンドはグラミーアワードに選出された事といい最高だったのではないでしょうか。この後バンドはThe Powerless RiseとAwakenedを発表しますがこのDVD映像の中のメンバー関係、そしてTimとMegganさんとの関係も良かった最後の時だったのかもしれないと思いました。この映像作品を発表後、Timと奥さんが養子を授かり、そしてTimの肉体改造が始まりました。映像の中でTimとメンバーが力を合わせて泥にタイヤを取られたツアーバスを押して行く場面、またツアー先の会場の坂道を転げ回り無邪気にはしゃぐ場面などをみるとこの結末は非常に悲しい。Timには刑務所で心を入れ替えて罪を償ってほしい。
バンドは早い時期から地元の人気を独占し、メタルコアの人気も手伝い一気にのし上がった若手メタルコアの代表でした。バンドとして注目を集めた後の鬼門アルバム(多くの同世代メタルコアバンドが注目された後のアルバムで滑り人気を落とした)ではAn Ocean Between Usで成功。そして人気を持続させ、新たなファンを獲得できたバンドとして注目していました。同世代はBleeding Through、Unearth、God Forbid、Shadows Fall、Himsa等ですが、As I Lay Dyingと同じ時に注目されたバンド達の現状を比べると彼等の成功が分かると思います。多くの若手メタルコアの兄貴的な存在であった彼等、改めて残念でなりません。
下の映像でバンドの初めてであり最後のDVD作品となったThis Is Who We Areのドキュメンタリーが全編見れます。
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