このコーナーでは、アメリカ西海岸Orange County(OC)にて行われるライブレポートをお届けします。

第16回: Generation Axe 2016 - in Los Angeles, CA

 

ロック・メタル界にて名を轟かすギタリスト達、Steve Vai、Yngwie Malmsteen、Zakk Wylde、Nuno Bettencourt、そしてTosin Abasi。この5人の超絶ギタリストが一堂に会するスーパーグループGeneration Axeが今年に入り結成を発表。
ニュースは瞬く間に全世界に知れ渡る事になり、多くのロックファン達がこの夢の共演に歓喜した。
 
Generation Axeのニュースは本ツイッターでも反響があり、今回嬉しい事にライブでの撮影パスを貰える事が出来た。説明皆無のギタリスト達の宴は完売、世代を超えたギタリスト達のライブレポートをお楽しみください。
 
 
Generation Axe in The Wiltern

Generation Axe in The Wiltern

ハードロック、メタル界にて有名なSteve Vai、Zakk Wylde、Yngwie Malmsteen、Nuno Bettencourt、Tosin Abasiが一堂に会するスーパーグループGeneration AxeのLA公演は一昨年Linkin Parkのライブを観たThe Wilternにて行われた。ライブハウスのスケジュールを観ると今後日本のThe Gazette、そしてBabymetalもこの会場でライブを行う予定らしい。会場前にはVIPチケットを購入しミーグリを待っているファンが列を作っていた。

Generation Axeマーチブース

Generation Axeマーチブース

開場すると係員からステージはオープンしていないので中に入れないと断わられる。来場者は暫く外のバーカウンターとマーチエリアで待機する事となった。マーチブースにはGeneration Axeのマーチ以外にも各アーティストのマーチも販売。後に混みそうなマーチは比較的空いていたのでTシャツを購入。来場者の年齢はバラバラで年輩ロッカーから若い世代まで居た。

大きな落胆を受けた会場側の配慮。

大きな落胆を受けた会場側の配慮。

さてGeneration Axeのライブの撮影を許可された事に非常に感激していたこの日だが、少し不満点もあったので先に述べさせて貰う。バンドの広報から当日メールを受け撮影者は会場内にあるATMにて待ち合わせる事になっていたが何時まで経っても責任者が表れる事なく撮影者達が困惑する事となった。結局責任者が現れる事なく演奏開始直前にバタバタと撮影ブースに入る事に。また会場はオーディエンスに椅子を用意し着席し聴くスタイルを取った為撮影はVIP購入者の後方のスペース、そして最初の3曲のみの撮影までとなった。3曲?撮影者全員絶句でしたよ。このライブがどういう物か理解しているのかと詰め寄るカメラマンもいましたが会場側は3曲ルールを押し通す。結局オープニングでは5人一緒に登場したGeneration Axeですが、2分程度のオープニングの後は最初のTosin Abasiのソロとなり、Tosinの二曲を持ってカメラマンは全員締め出される事に。いやいや、他のギタリストは?コラボは?確かにアーティストが変わる度にカメラマンを入れると邪魔になるかもしれない、しかしもう少しメディアに対し配慮をして欲しかった。

Generation Axeオープニング

Generation Axeオープニング

さて不満点も述べたことで、これからは普段のライブレポに移ります。ステージの暗転と共に5人のギタリスト達がステージに集結。一人一人にスポットを当てギターソロを披露していく。一番左のNuno Bettencourtは得意のファンクな要素を持つ高速ソロを展開。オーディエンスはアーティスト達1人1人のソロに声援を送っていた。

Generation Axeオープニング2

Generation Axeオープニング2

Nunoのソロの後はBlack Label SocietyのフロントマンでもあるZakk Wylde。今回、ZakkとAnimals As LeadersのTosin Abasi以外のギタリスト達は初めてのライブとなった。Zakkはこの日もトレードマークであるBulls-Eyeのレスポールを持って登場。

Generation Axeオープニング3

Generation Axeオープニング3

Zakkの後はステージ中央にいるバンドのリーダー的な存在のSteve Vai。そして隣がYngwie Malmsteen。日本でも知名度の高い両者が共にライブで演奏する事は滅多に無いはず。非常に貴重なライブである。

Generation Axeオープニング4

Generation Axeオープニング4

そしてステージ一番右のTosin Abasi。既にAnimals As Leadersのライブにて何度か彼の演奏は観てきているがこの日は一番若いメンバーという事で、彼の演奏が他のメンバー達とどう絡むのか注目。

Generation Axeオープニング5 曲Foreplay

Generation Axeオープニング5 曲Foreplay

各自のソロ演奏を引き終わり最後は中央のSteveの簡単な挨拶を持って会場は大歓声に。多くのオーディエンスがこの5人の超絶ギタリスト達のスーパーライブを楽しみにしていた様だ。超絶ギタリスト5人はBostonの曲Foreplayを演奏、インストプログロックのオープニング曲としては最適で非常に壮大なスケールを持つ始まりであった。

トップバッターはAnimals As LeadersのTosin

トップバッターはAnimals As LeadersのTosin

Tosinを除く4人が退けた後はステージはTosinワールドとなる。Animals As Leadersでの得意とする現代プログメタルまたはジェントの演奏を展開。他の出演者が全員40後半、50代に比べAbasiは30前半。そんな彼がこのGeneration Axeに招待される事は若手ギタリストの中でもトップレベルの実力と見られているからだろう。Tosinのプレイスタイルはジェントを奏でるザクザクした音とは逆に非常に柔らかいタッチの演奏だ。Zakkは体全体に電流が流れる様な感じで高速リフを連発するがTosinは左指をペラペラと弦に乗せる感じで弾いている。決してピンと張り詰まったスタイルではないものギターリフは攻撃的。AALからも曲Air Chrysalis、The Woven Web、Tempting Timeを披露。出演者の中でも現代デスコアスタイルのギターソロを見せたTosinは目立つ存在であった。因みに会場に入る前、列に一緒に並んだ年輩ロッカーの方々と話をしていたが、皆Tosinを観た事は無いが7本の指を持つ化物と話していた事が印象的だった。

Nuno Bettencourt

Nuno Bettencourt

Tosinの演奏は4曲程で最後に次のアーティストであるNunoをステージに呼び一緒にAnimals As Leadersのシングル曲Physical Educationを演奏しTosinは退けた。Nunoは違うジャンルであるTosinの楽曲にも難なくプレイし、始めて観るNunoに改めて感服。現在ソロとバンドExtremeで活動するNunoはヴォーカルも得意としておりギター演奏兼ヴォーカルも披露。Extremeの曲Get The Funk Outをプレイ。前述でも述べたとおり、Tosinのライブ中に退出を余儀なくされたが、実際最初の3曲の撮影ではとてもライブレポを書くのは難しい事、また会場側の決定にも不服だった事もありすぐさま会場内に戻り客席後方から万が一の為に持ってきたデジカメで以降のライブを撮影する事にした。以降の写真の出来についてご理解頂けたら嬉しいです。

Extremeの曲Midnight Express

Extremeの曲Midnight Express

こちらはExtremeのアルバムWaiting For The Punchlineの曲Midnight Express演奏時。アコギにロックとファンクな要素を絡めた展開が非常に美しい一曲。プレイスタイルとしては早弾きは勿論だが、ロックからファンクそしてポップ調へと自由自在に変更可能なセンスと高度なタッピング演奏が特徴的なギタリストだった。Nunoは今回初めて観るが、彼の話しや立ち振る舞いを観ていると、親近感を受けるロッカーな印象だった。印象的な彼のエピソードは、彼自身も御大ギタリスト達とのツアーは信じられない事で、その昔Yngweiにサインを求めたが「Fuck Off」(失せろ)と言われ今でも彼の事をビビッている話を披露し観客の笑いを取っていました。

最後にZakk Wyldeを呼び一緒にコラボ

最後にZakk Wyldeを呼び一緒にコラボ

Nuno最後の曲の前に次のアーティストZakk Wyldeを呼び、一緒にブルースロックCitizen CopeがCarlos Santanaと一緒に演奏する有名なSidewaysを披露。SlipknotのCoreyもライブでカバーする等プレイされる事の多い曲をNunoとZakkのダブルヴォーカル兼ギターでプレイ。

メタル界のアイコン的な存在Zakk Wylde

メタル界のアイコン的な存在Zakk Wylde

ハードロックそしてファンクなギターソロを展開したNunoの次はZakk Wylde。Nunoとのコラボ曲後はフリースタイルなギターソロをプレイ。Ozzy OsbourneのバンドにてRandy RhoadsそしてJake E. Leeの後任として長年Ozzyの右腕としてプレイしてきた彼の実力は折り紙つき。RandyやJakeと比較されるZakkですがいい加減彼のプレイを認めても良いのではと思ってしまう程影響力のあるギタリストである。先にも述べたが、正に電流が流れる様なプレイスタイルで状態を屈めガクガクとヘドバンしながらソロプレイするZakkは指一本一本が研ぎ澄まされたの如く非常にメタリックなプレイを展開。

恒例のティースプレイも健在

恒例のティースプレイも健在

こちらはJimi Hendrixの曲Little Wingをカバー演奏時でのソロプレイ。Jimiから影響を受けた歯でのギターソロも披露。

オーディエンスとの接触も図り大盛り上がり。

オーディエンスとの接触も図り大盛り上がり。

ライブ中Zakkはオーディエンスが座る客席にも降りて来てギターソロを披露。一斉に客があつまり携帯が舞う。写真では見え難いが、中央金髪ロン毛がZakk。最初は会場右側の客席にてプレイし、後に移動し今度は左側の客席にてプレイ。ファンサービスを図ったZakkのライブは盛況だった。

ZakkからYngwie Malmsteenに。

ZakkからYngwie Malmsteenに。

大歓声の中Zakk Wyldeの演奏が終了すると、Zakkと入れ替わりにYngwie Malmsteenが颯爽とステージに登場しギターソロを展開。日本では王者と呼ばれているそうだが、確かに彼の前に出てきたギタリスト達とは違い、ロックスター的な印象を受けるステージングであった。写真でも解るが濃いステージスモッグを撒き、煙の中でプレイする彼の姿は幻想的なイメージを抱かせた。写真のスモッグはまだ浅い方で、実際は本当に彼の姿が見えない程の量だった。

初期の曲を演奏したYngwie Malmsteen

初期の曲を演奏したYngwie Malmsteen

1984年に発表したデビューソロ作Rising Forceから曲Far Beyond The Sun、Icarus Dream Suite Op.4を演奏。ギターを回すパフォーマンスも披露、ギターシュレッダーの革命を起したといわれる楽曲はクラシックな音楽にロックを融合させたサウンドで、Yngwieが醸し出す品格からもロッカーというよりアーティスト/音楽家といった気高さが伺えた。ステージ脇に待機しているステージマネージャーにスモッグの量が足りないぞ、もっと出せと要求する等、もっとスモッグいるんかいと思ってしまう程、自分のステージの見せ方も徹底している姿は正に王者。

YngwieとSteve Vaiのコラボ

YngwieとSteve Vaiのコラボ

Yngwieの演奏間、遂に5人目のSteve Vaiが登場し会場は大歓声に包まれる。二人はYngwieの曲Black Starをコラボで演奏。この2人の御大の組み合わせは非常に興味深く、先ほどまで気高い印象を出していたYngwieはSteve登場と共に1人のギター小僧の様にはしゃぐ様に笑みを浮かべながら共にプレイ。まるで兄弟の如く、そしてギターのテクニックを見せ合うライバルの様にBlack Starの演奏を楽しんでいる2人が印象的だった。

Steve Vai

Steve Vai

曲Black Star後、Steveはそのまま自身の曲Now We Runを開始。Steveといえば長髪なイメージがあったが現在はショートカットになり髪を靡かせる様なプレイスタイルでなく体全体を使い、大袈裟とも取れるようなギターの音色に聞惚れる様な表情を浮かべた演奏に。立て続けに曲Tender Surrender、そして曲Gravity Stormを披露。

曲Building The Church

曲Building The Church

こちらは曲Building The Churchでの写真。両手を使った巧みなテクニックは流石。非常にドラマチックな曲でもあり、Steveの奏でる演奏はまるでギターに歌わせている様にも聞き取れ、"弾く"より"歌わす"というギター表現もあるのかと脱帽。

Steve、Zakk、そしてNunoのコラボ実現

Steve、Zakk、そしてNunoのコラボ実現

今度は先ほどプレイしたZakk Wylde、Nuno Bettencourtがステージに復帰しSteveと一緒にThe Edger Winter GroupのFrankensteinを一緒にカバープレイ。写真の様にお互いのギターフレーズを覗き込むようにプレイする姿が微笑ましい。

Generation Axe4人によるコラボ。

Generation Axe4人によるコラボ。

3人だったGeneration Axeに、Tosin Abasiが加わり4人のFrankensteinのコラボに発展。4人とも楽しそうにそれぞれのギターソロに聞き入ってます。欲を言えばコラボ時にTosinがもう少し前に出てきて演奏して欲しかった。しかし、御大達/先輩を前にして出てくるのはやはり難しかったか。少し左の3人との距離が気になったが仕方ないのかもしれない。

最後にYngwieも参加しGeneration Axeでコラボ

最後にYngwieも参加しGeneration Axeでコラボ

Generation Axe4人でのコラボ演奏時、多くの人はYngwieの参加を今かと待っていた。そしてFrankenstein演奏後、Steveの呼びかけによって最後の1人Yngwieがギターソロと共に登場。最後までスター性のある人だった。5人揃ったGeneration Axeは恐らく全員が影響を受けたであろうDeep Purpleの曲Highway Starをカバー演奏。写真の様にYngwieが本当に楽しんでいるのが印象的だった。恐らく5人共、実力のあるアーティストと一緒に演奏出来る事を喜び合っていたのではないだろうか。豪華なHighway Star演奏であった。

最後は出演者全員で締める。

最後は出演者全員で締める。

これまでレポートでは触れてこなかったが、Generation Axeのメンバーと一緒にプレイしてきたドラマーはAnimals As LeadersのMatt Garstka、キーボードがYngwieのバンドからNick Marinovich、そしてベースに元Zappa Plays ZappaのPete Griffinとこれまた豪華なメンバーでの演奏だった。最後は出演者全員がオーディエンスのスタンディングオベーションに応えた。

Generation Axe総評

Generation Axe総評

出演者全員がオーディエンスに頭を下げてGeneration Axeのライブは終了。本当にどのアーティストも自分の持つギターテクニックを最大限に披露してくれた貴重なライブであった。それぞれスタイルの違うギタリスト達という事もあり、ベストアクトを決めるのは非常に難しい。欲を言えばもう少しコラボ演奏をして欲しかったという所。ZakkとTosinのメタルアーティストのコラボは是非観て見たかったし、スタイルの違うNunoとYngwieのコラボも興味があった。しかし、それらを抜きにしてもこの5人のアーティスト達が一堂に会する事は滅多に無い事なので、5人のスケジュール調整をし、恐らくSteveだろうか、計画を立て4人に声を掛けたアーティストには拍手を送りたい。素晴らしいライブをありがとう。

出演: Generation Axe: Steve Vai, Yngwie Malmsteen, Zakk Wylde, Nuno Bettencourt, Tosin Abasi