
All That RemainsからギタリストJason Richardsonが脱退。
8/10/2025

メタルコアAll That Remainsにて2018年からギターを担当していたJason Richardsonが脱退。
Jasonは2018年10月に他界したAll That Remains (以下ATR)の結成メンバーでありギタリストOli Herbertの後任として加入。ATRはJasonが以前に在籍していたBorn Of Osirisと一緒に何度かツアーした経験があり、Oli自身もJasonのギタースキルを認めており、当時まだ18歳だったJasonに「ベストなギタープレイヤー」と発言していたそうで、ATRはOliの後任を決める際Jasonに即決した事をヴォーカルPhil Labonteが発言しています。Jasonを入れたATRはアルバムAntifragileを2025年初頭にリリースしています。
ATRは以下に発表、
「All That RemainsとJason RichardsonはJasonが自身のプロジェクトに集中する為別の道に行く事を決めました。私達はJasonを愛し、共に過ごした時間、音楽、そして思い出に感謝しています。今後、彼に成功と幸せが訪れる事を心から願っています。彼が音楽界に何をもたらすのか非常に楽しみにしています。そして、それが私たちの想像を遥かに超えるものになることを確信しています。」
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Jasonは発表にて、
「All That Remainsと私は友好的に別れる事を決めました。ATRと共に一緒に作り上げた作品に私は本当に誇りを感じています。また、ATR在籍中に築いた人間関係にも感謝しています。私のキャリアにおける現在の状況と、今後訪れる新たな機会を考慮すると、長期的な未来にとって最も適切な選択を優先する必要がありました。近日中に皆と共有できる本当に楽しみな情報があります。ATRのメンバー達の今後に心から最高の幸運を祈っています。次のチャプターが楽しみです。裏で様々なことに取り組んでおり、今は非常に前向きな気持ちでいっぱいです。」
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Jasonはソロ活動も精力的に行っており、ATR在籍中にもソロ作品Iのオーケストラセッションバージョン、ソロ二作目II、ゲストとしてWithin Destruction、SION、August Burns Red、Falling In Reverse等の作品に出演、そしてソロアーティストとしてBabymetal等と一緒にツアーもしていました。この事からもJasonのソロ活動が多忙な為に脱退を決意した事も理解できます。しかし、6月12日にJasonは自身のSNSにて以下の意味深な発言を投稿、
「私のキャリアを通じて、これほどまでに尊重されず、利用され、当然視され、軽視されたことはありません。信じられないです。二度とこんなことは許さない。」
同投稿は未だ削除されておらず、当初はJasonが何について憤慨しているのか知りたいファン達により議論が起こりました。当然、Jasonが在籍するATRのフロントマンPhilにも意見が寄せられたもの、Philは「知らないな。彼とは話していないから」とATR内の問題である事を否定しています。
JasonはATR加入前まではAll Shall Perish、Born Of Osiris、Chelsea Grinを渡り歩いてきたキャリアがあります。All Shall Perishではツアーギタリストとして活躍したもの、Born Of OsirisではアルバムThe Discovery(2011)を一緒に制作し、続くChelsea GrinではEP作Evolve(2012)とアルバムAshes To Ashes(2014)を一緒に制作しました。2017年のインタビュー時、JasonはAll Shall Perishでは作曲する機会は無かったもの、Born Of OsirisではJasonが得意とするテクニカルなサウンドを目指した事でメンバー達の意見を取り入れて制作した事を発言していました。しかし、Chelsea Grinに関しては既に彼等のデスコアサウンドが好きなコアなファンが居た事で、Jason自身が目指すサウンドを遠慮しなければならず、結果的にJasonは一歩退いた状態で作品を制作したそうです。後にJasonのソロ作品Iに収録される事になる曲RetrogradeはChelsea Grin在籍時に書いたものでChelsea Grinは「少し色々あり過ぎるね」と見送られた曲だった事も明かしていました。
2012年初頭、Born Of Osirisは以下にJasonが脱退した事を発表、
「ファンの皆へ、ギタリストのJasonとは別の道に進む事になりました。これは避けられない決断でした。この決断により、私達はより創造的で、活力に満ち、集中力のあるグループとなるでしょう。過去1年間はバンドにとって最も成功した年であり、その全ては素晴らしいファンの皆のおかげです。今年はバンドのあらゆる面を新たなレベルに引き上げる為のさらなるステップを踏み出すことを約束します。
Jasonを責める理由はありません。彼は、私達が彼抜きで進み始めたことを知った後、Chelsea Grinに加入しました。私達はJasonとChelsea Grinメンバーを愛しており、彼等に幸運を祈っています。私達はこれまで3枚のアルバムを制作してきましたので、もしThe Discoveryの方向性が気に入ったなら、次に作る作品にさらに期待してほしいと思います。」
しかし、Born Of Osirisが上記の発表した後J、asonはバンドを痛烈に批判、
「念のために、私はBorn of Osirisを辞めた訳ではありません。私達の間にどんなに緊張感があっても、そんなことをする気は絶対にありませんでした。Born Of Osirisメンバーは私にとって家族同然で、彼等と同じ家で2年以上暮らしていました。これは決して私の決断ではありません(そもそも私はその決断に一切関与していませんでした)。私はバンドから解雇されました。理由は、私が”メンバー達が人生を過ごす方法に同意できない”からであり、彼等曰く”彼等の父親がバンドにいるような感じだった”、からです。
その為、私の終わりのない愚痴や、彼等の過剰な飲酒や薬物乱用について指摘する代わりに、クリスマス4日前の午前1時30分に、家族の元に帰省中の私に電話をかけて、新しいバンドの家から私の荷物がトレーラーに積まれて運ばれていると伝えるのが、プロフェッショナルな対応方法だと判断したのです。したがって、私は誇りを持って言えますが、Born of Osirisという臆病者の集団とステージで再び演奏することは決してありません。
彼等の個人的なことを公に暴露した事について、彼等がどう思おうと構わない。私は皆に、彼等がどんな人間なのかを知ってほしいだけです。真実がようやく明らかになって嬉しく思っています。そして今、彼等にとって本当に重要な事が何なのか分かりました。それはThe Discoveryのようなアルバムをリリースすることではないという事です。」
https://metalinjection.net/news/drama/born-of-osiris-dump-guitarist-in-dramatic-fashion
Born Of Osirisを脱退したJasonはChelsea Grinに加入したもの三年後に脱退。当時のChelsea Grinは以下に発表。
「私達とJasonは友好的に別れる事になりました。この決定は、音楽的な違いと、次作のアルバムのサウンドに関する私達の方向性に基づいています。Jasonはバンドにとって貴重な存在でしたが、今後はソロ活動に専念することになります。彼と共に過ごした時間に感謝しています。」
https://www.altpress.com/chelsea_grin_part_ways_with_guitarist/
Chelsea Grinを脱退したJasonはクラウドファンドで集めた資金を元にソロアルバムを制作しアルバムIをリリース。その後は2018年にAll That Remainsの活動に参加するまではソロで活動していました。
All That Remainsの正式メンバーとなったJasonでしたが、2020年に以前在籍していたBorn Of Osirisとトラブルを起こします。とあるファンがSNSを通じてBorn Of Osirisに、Jasonと和解し、アルバムThe Discoveryの続編を制作するよう提案した所、ツイートを見たJason自身が返信し、この提案を拒否。ついでに、Jasonは同作品における自身の作業から得たロイヤルティがまだ支払われていないと主張しました。この返信後、JasonはBorn Of Osirisのアカウントから即座にブロックされた事を投稿。
このトラブルから約4ヶ月後、JasonとBorn Of Osirisが和解したのかは不明ですが、JasonはついにBorn Of OsirisのレーベルであるSumerian RecordsからアルバムThe Discoveryでの自身の仕事に対する未払いのロイヤルティを受け取った事を投稿。しかし、Jasonによると同件が解決に至ったのは、9年以上の月日、2人の弁護士、そして数百通のメールを経て、訴訟の支援を受けて達成された事を報告しています。
これまでの経緯を見てもJasonは同じバンドに2-3年在籍し脱退する事を繰り返していた事からATRを脱退した事については多くの人は驚かない反応を見せています。管理人的にはATRには7年間在籍した事から、コロナ期間もありましたがJasonにしては長い間同じバンドで活動していたなと思っています。上記にある、ATR、Born Of Osiris、そしてChelsea GrinのJason脱退発表にはそれぞれ「友好的に別れた」、「Jasonを愛している」、「今後の成功を祈っている」等同じような文が見られます。バンドと脱退メンバー双方にマイナスなイメージが付かない無難な文章となっていますが、Born Of OsirisとChelsea Grinを離れたJasonには明確な脱退理由が明らかにされています。Born Of Osirisでは他メンバー達の荒れた生活態度が気に食わなかった事、Chelsea Grinでは自身のやりたい音楽をさせて貰えなかった事等があります。ATRに関してはソロ活動に注力する為という理由での脱退になっています。しかし、ATR在籍中にJasonはソロ活動を並行して行っていた事もあり、脱退理由はこれだけではないのではないかとも言われています。
気になった事は、ATRはアルバムAntifragileを今年初めにリリースしたもの未だにプロモーションツアーを行っていない事です。そればかりか、今年出演予定だったSonic Temple Art + MusicフェスとWelcome To Rockvilleフェスも出演キャンセルし、どちらもバンドからの発表が全くない事も気掛かりです。ATRメンバーはというと、ドラムAnthony BaroneとベーシストMatt DeisはBabymetalと仕事をしており多忙で、ヴォーカルPhil LabonteとギタリストMike Martinの活動は分かっていません。AnthonyとMattの年間スケジュールをATR側が事前に調整していなかったとは考えられませんがATRは現在休止中です。アルバムAntifragileの制作ではJasonはギターのみならずキーボードやプログラミングでもクレジットされており、Born Of Osirisの時と同様にロイヤルティの問題が発生していた可能性もあるかもしれないと言われています。
現在ATRでは唯一のオリジナルメンバーであるPhilがバンドの多くをコントロールしているという事から、Jasonとの亀裂が噂されていますが、今年Philが受けたインタビューではJasonについては「サウンドプログラミングの天才」とべた褒めしており、「彼は音楽理論やその分野に関する深い知識と幅広い理解を持っているので、小さなアイデアを本当に広げていくことができる」とJasonが制作に大きく貢献してくれた事を評価しています。このことから、Phil側からJasonに対しての不満は無かったと思います。また、前述の通り、JasonはATR活動時に並行してソロ作品をリリース、ソロでツアーを行い、他のアーティスト達とのコラボ、自身のシグネチャーモデル等を発表したりと比較的自由にソロ活動ができていたのでJason自身も特に不満は無かったのではないかなと思っています。
Philは自身をリバタリアンと位置付けており、 一般的に右派の理念と一致している事は有名です。特に銃器所持の権利を擁護することが彼の熱心な主張の一つでもあり、Youtuberやポッドキャスト番組に出演し熱心に自身の思想について発言してきました。インタビューにて、自身の分断的な政治的立場とバンドメンバーの間で維持している「境界線」について質問され、Philは以下に発言。
「私は常にバンド内で政治的思想を踏み込まない様に努めているよ。その理由は、All That Remainsには常に異なる政治的意見を持つ人々がいたからだ。私と元ベーシストのJeanne Saganは、かなり異なる政治的意見を持っていた。ギタリストJason Richardsonと私は非常に異なる政治的意見の相違がある。そして、私の人生で一度でも、政治的な思想の違いによってメンバーが辞める理由になった事はなかったよ。だから、私にとっては「見てくれ、ステージに立って自身の思想を語るなんて事はできないよ」という感じだった。私がAll That Remainsのライブで最も政治的なことをしたと言えるのは、2012年にRon PaulのTシャツを着たことくらいで、それだけだよ。バンドには、私と同じ考えを持っているメンバーもいれば、全く違う考えを持っているメンバーもいる。私としては、それは普通の事だと思っているよ。もし、意見の合わない友達がいないなら、それは異常なことだと感じてる。」
この発言からも、JasonがPhilの思想に嫌気がさして脱退したとは考えにくく、これまで脱退してきたJeanneも婚約者と一緒にバンドCrossing Rubiconに注力したかったから、長年のドラムJason Costaもバンドとは全く関係ないパーソナルな事情で脱退しており、Philの影響はあまり無かったのではと言われています。
https://www.revolvermag.com/music/how-tragedy-and-turmoil-made-all-that-remains-antifragile/
現時点で、Jasonの脱退理由については、彼の言葉通りソロ活動や今後のキャリアを考慮しての決断だった、そして今後の活動が発表されていないATRに少し不安もあった、というのが一番しっくりくるのかなと思っています。管理人的には、これはJasonにとって良いニッチな分野だと思っており。バンドが新しい人材と創造性を求めている時に、バンドからバンドへと移りながらJason自身のスキルを活かして活動する。彼らを新しいサウンドへ導き、クールなことを実現したら、次に進むことに集中する。ATRでは若い時から目を掛けてくれていたOliへの感謝の気持ちも込めた活動でした。今後のJasonそしてATRの活動に期待しています。



